内閣総理大臣 森 喜朗 殿
通商産業大臣 深谷 隆司 殿
本日、国会において「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案」が、只一ヶ所の修正のみで原案通り可決されたことに対し、私たちは強い憤りをもってここに抗議します。
この法案は、今後の何世紀にもわたって日本の社会に大きな影響を及ぼす重大法案であるにも関わらず、解散前の慌ただしい時期に、衆参両院合わせても僅か数日間というスピード審議で強引に採決されたものです。そこには、この半永久的に毒性をもつ放射性廃棄物を自ら発生させている側の、強い意向が働いていたことは明らかです。
短期間の審議でありながらも、指摘された法案の問題点は数多くしかも重大です。根本的な問題の一つは、‘高レベル放射性廃棄物は超長期間危険性をはらむものであるが故に、安全に処分する必要がある’ということが目的として認識されていないことです。「安全に」という言葉が条文の目的から欠落したことは、図らずも、日本の原子力開発における安全思想がいかに稚拙であるかを象徴したものとなりました。
地層処分は経験のない技術であり、将来何万年にもわたる安全性はすべて見込みで判断するしかありません。そもそも、地層処分の安全性も根拠が十分あるとは言い難く、技術研究開発を行ってきた核燃料サイクル開発機構の「第2次取りまとめ」の評価すら完了していない現段階で、地層処分だけを唯一の方法に決めて法制化することは、あまりに拙速すぎます。高レベル放射性廃棄物の安全な処分方法は未だ確立していないと言うべきであり、だからこそ、このように危険な廃棄物の量をこれ以上増やさないことが、何よりも優先されるべき政策なのです。既に複数の自治体が、こうしたリスクを伴う処分場の受け入れを拒否している事実は、厳粛に受け止められねばなりません。
また、放射性廃棄物を生みだし続ければ、たとえ当法案のような形で資金の徴収を始めたとしても、将来世代に必ず負担を残すことは避けられません。世代間の不公平を是正することは原理的に不可能であり、それを口実にして処分費用だけを徴収し、発生源を止める努力をしないのは、まさに将来世代への犯罪行為ではないでしょうか。
私たちは、このように無謀で無責任な法案の成立を容認した政府与党と国会議員に対し、心から失望と怒りを禁じえません。
私たちは、何百、何千年の将来の世代の環境と安全に対しても、想像力と責任を持った立法府を求めます。これは議員のみならず、人間としても当たり前の道徳ではないでしょうか。
以 上
2000年5月31日
埋めてはいけない!核のゴミ実行委員会・なごや
きのこの会 .
名古屋市昭和区花見通1-59 川名文庫内
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連絡先:安楽 知子