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<第3号議 案> 定款一部変更の件(1) 【提案の内容】 以下の章を新設する。第7章 電 気料金改定時の顧 客対応 第45条 本会社は,規制部門の電気料金を改定しよ うとする際には,経済産業大臣への申請に先立って,規制部門の需給契約者およびその家族を対象にして,以下の各号に則った説明会を開催する。
1 開催までに十分な周知期間を置き,十分な周知活動を行う
2 開催日は土曜,日曜または祝祭日のいずれかとする 3 本会社の供給エリアに属する県ごとに1カ所以上で開催す る 4 司会進行役には本会社と利害関係を有さない者を充てる 5 本会社を代表する者が出席し,説明および質疑への応答を 行う 規制部門(家庭)の電気料金は,電力会社の申請に基づいて経 済産業大臣が認可し,顧客はその結果に一方的に従わされる。この根本的不条理を緩和するため に,電力会社は顧客に対して料金改定の必要性を根拠づけるデータを開示し,丁寧に説明することが求められる。 ところが今回の料金改定では,各顧客には検針時にA4用紙1 枚半のリーフレットが配付されただけである。料金値上げについての専用ダイヤルも設けられた が,そこでの対応はまったく不誠実で,質問に対して「貴重なご意見として承っておきます」という実質回答拒否の応答が頻発された。 データ開示も不十分で,たとえば浜岡原発が停止した2011 年度以降の実際の経費削減額は公表を拒否された(公表されているのは,水増しされた経費削減 額)。 このような顧客無視の姿勢を改めさせるための最低限の措置と して,顧客の疑問,質問に直接応答する説明会の開催を義務づけるのが,本提案の主旨である。 <第4号議案> 定款一部変更の件(2) 【提案の内容】 以下の章を新設する。 第8章 安 全第一 第46条 本会社は,安全第一を旨とし,世界一危険な 地点に立地する浜岡原子力発電所を廃止する。 【提案の理由】 2月14日,本会社は浜岡原発4号機の再稼働を前提に,新基 準適合性審査を原子力規制委員会に申請したが,地元静岡県では知事や首長に対して「再稼働とは 別」と説明してきた。 知事は「社長もくり返し,再稼働と結びつくものではない,と 言われている」と語り「ぜひ審査を受けるべき」と地元同意を与えた。これはとんでもない欺瞞で ある。 申請は,法令上は設置変更許可申請で,世間で再稼働審査と言 われる通り再稼働には必要不可欠だ。現在国内のすべての原発が停止しているのは,福島原発震災 の発生により,過去の審査基準の過誤が明白となり設置許可が違法,無効となったためである。 ところがこれを是正したはずの新規制基準は,過酷事故の発生 を容認し,そのさいの住民被曝を前提として避難方法や避難所の放射線防護工事,被曝対応病院の 指定などを求めるものだ。 「事故は起こさない,起きない」と偽って得た地元了解はここ に撤回し,浜岡原発は廃止する。 <第5号議案> 定款一部変更の件(3) 【提案の内容】 以下の章を新設する。 第8章 安 全第一 第47条 本会社は,安全第一を旨とした経営の基本方針に則 り,設備投資の優先順位を決定する。
特に原子力発電所につ いては,安全上最も重要且つ必要な施設である使用済 核燃料の乾式貯蔵施設の建設を優先する。 【提案の理由】 浜岡原発では,福島第一原発の事故を受け,2011年から防 波壁等の津波対策工事を始め,昨年からは原子力規制委員会の新規制基準への対応も含めた総額三 千億円規模 の対策工事を進めている。この中には再稼働できない場合は全く無駄になる工事も数多く含まれているが,経営陣は前のめりでこの設備投資を決定した。 一方で,2008年末に計画発表された使用済核燃料の乾式貯 蔵施設の建設は進んでいない。約3年の工期を経て2016年度には使用を開始する予定が大幅に 遅れている。 福島第一原発4号機の爆発事故は,水冷式の使用済核燃料プー ルの危険性を改めて示した。停止中であっても巨大地震の発生確率と使用済核燃料の危険性は減ら ないので,本来なら乾式貯蔵施設は,工期を早めてでも最優先に着手されるべきである。地元が同意もしていない浜岡原発の再稼働のためにフィルタベント等の 設備投資を優先しているのは,安全を第一に考える姿勢とは言えない。 【提案の内容】 以下の章を新設する。 第9章 原 子燃料に係る出資 第48条 本会社は,経営の健全化を阻害する原子燃料(核燃 料サイクル関係を含む)に係る出資をしてはならない。
既に取得した以下の事 業に関する株式,債券等は速やかに売却する。
1 カザフスタンのウ ラン鉱山開発プロジェクト 2 六ヶ所再処理工場,MOX燃料工場,ウラン濃縮工場を保有する日本原燃株式会社 3 日本原子力研究開発機構 【提案の理由】 地元の反対が根強く運転再開の見通しがないにも関わらず,本 会社は浜岡原発用の原子燃料のために多額の出資を続けている。これらの投資は今後利益を生む見 込みがないばかりか,合理的な経営判断を阻害しかねない。 浜岡原発が稼働できなければウラン燃料は不要である。ウラン 価格の低迷で米国USEC社も経営破綻し,もはやウラン権益を保有するメリットは無くなった。 カザフスタンの鉱山開発関連企業の株式は売却し,事業から撤退すべきである。 また,603億円を出資する日本原燃の経営は,現在綱渡り状 態である。今後更に事業資金が不足し,追加負担が増えて行くのは確実だ。しかも,電気料金を値 上げする 一方で,日本原燃の再処理工場で分離したプルトニウムの消費のため,10倍も割高なMOX燃料を使うことには消費者の理解も得られない。 実用化にほど遠い高速(増殖)炉の開発を行う日本原子力研究 開発機構への18億円の出資も実りが無いので止める。浜岡原子力発電所における使用済み核燃料 の貯蔵量を増やしてはならない。 <第7号議案> 定款一部変更の件(5) 【提案の内容】 以下の章を新設する。 第10章 原子力災害時の被 曝防護対策に係る本会社の責任 第49条 本会社は,原子力施設(発電所及び放射性物質を扱う施設)の事故により公衆を被曝させる恐れがあるため,それを回避するための対策に全責任を負 うものとする。
これを確実なものとす るため,以下の事項を遵守する。 1 公衆を些かなりとも被曝させないことを原則とする。 2 福島原発事故により放射性物質が30km圏を超えて拡散した事実を踏まえ,事故の影響を受けうるあらゆる自治体(避難者を受け入れる自治体も含む)に 対し,最悪の事故の被害想定をはじめとする防災対策・避難計画の策定に必要な施設に関する情報を積極的に提供し,住民にもそれを公開する。 3 施設からの距離に関わらず,上記の防災対策・避難計画の策定,実施に必要な費用は,避難者の受け入れ自治体の計画策定に係る支出も含め,すべて本会社 が負担する。 4 施設からの距離に関わらず,自治体の水・食糧・安定ヨウ素剤等の備蓄について,放射線防護に要する部分(例えば確保すべき日数の増加分等)の費用につ いては本会社の負担とする。 5 実際の事故時に発生する放射線防護に要する費用については,自治体の求めに応じて速やかに支出できるよう緊急対策費として積み立てておく。 6 前各項について確実に実施できない施設は,操業してはならない。 【提案の理由】 放射線による人体への影響にはしきい値がなく,可能な限り被曝を避けるべきというのは,国際的なコンセンサスである。本会社は原子力施設の操業に際し,最 悪の事故を起こした場合でも公衆を些かなりとも被曝させないよう万全の措置を講じておく義務がある。 現在,原子力災害に関して各自治体が防災・避難計画を策定中であるが,担当する職員の負担は重く,とりわけ施設に近いほど住民の避難手段の確保,要援護者 への対応は困難を極めている。避難を断念し,屋内退避とする場合でも,地震・津波等との複合災害への対応や食糧・医療品等物資の供給手段を確保しなければ ならない。 これらの難題は,本会社の原子力施設が原因で生じているのであるから,当該施設の操業により営利活動を行う当事者として,本会社はその問題解決に責任を負 うとともに費用を負担するのは当然だ。国の原子力防災指針の不十分な点は自ら補い,社会に原発のコストを押し付けてはならない。
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