<第3号議 案> 定款一部変更の件(1) 【提案の内容】 以下の章を新設する
第7章 経営戦略の転換
第45条 本会社の経営理念の柱として,倫理に基づくことを第一とする旨を謳う。
1 これまでの利潤追 求から脱し,関係者すべての心の豊かさ(総幸福量) の最大化を追求する倫理的経営へと転換する。
2 社員,株主,経営陣の叡智を総動員してその実現に努める。
3 巨大地震の巣の上に原子力発電所を建設してしまった過ちを率直に認め,倫理に反する原子力発電からの撤退とその後始末に取り組む。
【提案の理由】
福島原発震災による被害は深化し,ますますその格差を拡大しつつ理不尽な対応に泣く人々を追いこんでいる。一方で原発ゼロの国民意志を切り捨て,本会社 も,科学技術で乗り越えられると間違いの上塗りを重ねる。
現在規制行政が検討中の安全対策は福島事故への対症療法にすぎず,未知の手抜かりはどこに潜むかわからない。浜岡原発で上下動対策の不備を突かれれば即核 暴走事故となり,福島・チェルノブイリ事故をはるかにしのぐ地球規模の災禍となる。
市場原理主義による自由競争からの脱却は急務である。未来世代に属すべき資源を濫用枯渇させ,永久に有毒な廃棄物と膨大な債務を後世に残すことは倫理の根 本に反する。
世界が直面する危機は経済危機でも金融危機でもなく文明の危機であり,その解決には人類の叡智の地球規模の動員が必要である。原発震災の具体的な危機を抱 える本会社こそ,説得力あるリーダーたり得る。率先して倫理的経営への転換を宣言する。
<第4号議 案> 定款一部変更の件(2)
【提案の内容】 以下の章を新設する
第8章 原子力発電
第46条 本会社は,経営環境の変化に柔軟に対応するため,原子力発電から撤退する。
【提案の理由】
本会社では2011年5月以降全原発が停止中であるが,電力供給に支障をきたすことなく3年目を迎えた。また業績についても,他社に比べ悪化を免れてい る。
これは,浜岡1,2号機の廃炉を潔く決断して原発比率を下げ,高効率のガス火力発電にシフトするという経営陣の先見性があったからである。
しかし今ある3基は,発電しなくても減価償却費や固定資産税,修繕費,損害保険料,損害賠償支援機構への負担金等の高い固定費がかかっている。今 後,欠陥炉と言われるマークI改良型原発の浜岡3,4号機と,海水流入で至る所に腐食が見つかっている5号機の補強工事に多額の費用を投入したとしても, 巨大地震に耐えられる保証はない。
東京電力の経営悪化と巨額の賠償費用,再処理計画の破綻,電気事業の制度改革などで,原発に係る負担は間違いなく増大する。将来の経営環境の変化に柔軟に 対応するため,剰余金があるうちに原発から撤退し身軽になるべきである。
<第 5号議 案> 定款一部変更の件(3)
【提案の内容】 以下の章を新設する
第9章 出資,債務保証の制 限
第47条 本会社は,経営破綻する可能性のある次の事業者への出資及び債務保証を禁ずる。
1 日本原子力発電株式会社
2 日本原燃株式会社
(2) また,これらを行うために必要な関係事業者及び関係省庁との協議・交渉を率先して行う。
【提案の理由】
本会社の日本原電への投資額は約181.4億円。債務保証額は200億円を超える。
更に,昨年度の受電量はゼロだったにもかかわらず,300億円弱を支払った。将来的にも3基の原発しか持たない日本原電は,敦賀1号機が既に40年を経過 し廃炉が確実な上,2号機は直下に活断層の存在が指摘され再稼働の目処がたたない。
東海第二原発も地元の反対で再開が見込めず,もはや経営破綻が目前である。
また,日本原燃に対しては約602.6億円を出資し,1,100億円以上の債務保証をしている。しかし六ヶ所再処理工場は,これまでの建設費・補修 費の膨張や度重なる試運転中のトラブルを見れば,資金計画そのものが非現実的であることは明らかだ。このまま再処理を維持しようとすれば,際限ない負担を 迫られることになる。
原発事故の後始末で,東京電力を筆頭に電力各社にももう余力はない。小手先の支援で破綻の先延ばしはやめるべきである。
<第6号議 案> 定款一部変更の件(4)
【提案の内容】 以下の章を新設する
第10章 寄付金,協力金, 補償金に関する情報公開
第48条 本会社が支出する寄付金,協力金,補償金については,次のとおり情報を開示し,経営の透明性を高める。
1 1億円を超える地 方自治体や大学,研究機関,協同組合等法人,政治団 体,個人に対する寄付金,協力金,補償金等の支出については,一般に公開する。
2 10万円以上1億円未満の寄付金,協力金,補償金等の支出については,単元株主に対して情報を開示し,本店及び営業所内での閲覧・謄写を可能とする。
【提案の理由】
寄付金,協力金,補償金等は,これまで総括原価方式により必要経費として電力料金への転嫁が認められてきたが,他社の値上げ申請を契機に批判が高まり,原 則認められなくなった。しかし,支出そのものは禁止されておらず,情報開示も不十分である。
電源三法交付金という制度があるにもかかわらず,更に地域振興という名の下で地元自治体へ多額の寄付をしたり,要求されるまま地元の各種団体へ寄付 金や協力金,補償金を提供することは,地域の自立を阻害する「バラマキ」との批判もある。また,学校,研究機関,NPO等の法人や任意団体への寄付や協力 金も多数あると思われ,それらを含めたこれまでの総額は数百億円規模と推測できる。
本会社の利益は,電気料金として地域独占の公益企業ゆえに得られているものであり,一般の民間企業以上の情報開示が求められるのは当然だ。配当を受ける株 主としても,どのような団体へどれだけ支出されたかを知る必要がある。
<第 7号議 案> 定款一部変更の件(5)
【提案の内容】 以下の章を新設する
第11章 原子力発電施設廃 止措置委員会
第49条 本会社は,原子力発電所の廃止措置を公平・公正な形で円滑に進めていくため,下記の1から3までを行う「原子力発電施設廃止対策委員会」を設置 する。
1 安全且つ合理的な 施設の廃炉計画を策定する。
2 原子力発電所内に保管されている使用済核燃料については,今後の再処理工場への搬出を中止し,長期にわたり安全を確保できる管理貯蔵計画を策定する。
3 原子力施設の廃止に要する費用の調達や会計上の処理に対応するため,これまでの法令,制度・規則の見直し等について,関係事業者,関係官庁との協議・ 調整も視野に入れて検討し,方針を示す。
(2) この委員会の 構成メンバーには,原子力関係企業・団体からの寄付 を受けていない専門家,有識者の他,立地及び隣接自治体のそれぞれの住民代表,原 子力問題に取り組むNGOを必ず参加させなければならない。
【提案の理由】
浜岡原発は,近い将来必ず起きると言われている巨大地震の震源域の真上にあり,再び原発震災を起こす可能性が指摘されている。再稼働は断念し,使用済核燃 料の管理など廃止に向けた作業に速やかに着手しなければならない。
この廃止措置をより公平・公正な形で円滑に進めていくためには,(2)項に述べるような外部の利害関係者,有識者等を加えた「原子力発電施設廃止対策委員 会」を設け,必要となる措置を総合的に検討し,方針を定めて行くことが必要である。
具体的には,解体撤去ではない安全且つ合理的な廃炉計画や,使用済核燃料の長期的な安全を維持するための管理貯蔵計画を,地元住民等の意向も取り入れて策 定する。
また,必要な法改正や引当金等会計処理に係る制度・規則の見直し,更には電源開発促進税の廃止や使途の変更など負担軽減に向けた抜本的な対策も検討し,本 会社はこの方針に基づき関係事業者,関係官庁との協議・調整を行うものとする。
<第8号議 案> 定款一部変更の件(6)
【提案の内容】 以下の章を新設する
第12章 プルトニウムの生 産,使用,売却,保管管理
第50条 本会社は,プルトニウムを今後一切生産・使用しな い。
2 また,電源開発株式会社や日本原子力研究開発機構等他者 へのプルトニウムの売却を禁止する。
3 既に再処理で分離されたプルトニウムの管理については, 発生者としての責任を全うするため,関係事業者,核防護やプルトニウム管理に詳しい国内 外の専門家及び核問題に取り組んで来たNGO代表などから構成された「プルトニウム管理委員会」を設置し,安全で環境負荷が少なく,核防護上有効な長期の 保管管理計画を検討していくものとする。
【提案の理由】
浜岡原発で生産され,既に再処理で分離された核分裂性プルト ニウムは2.6トン以上に及ぶ。これらは4号機でのプルサーマルと電源開発(株)が建設する大 間原発で消費される計画であった。しかし浜岡原発は,地元自治体の反対で再稼働すら困難な状況である。大間原発については,北側前面海域に40km以上の 海底活断層が存在し,M7クラスの直下型地震と津波に襲われる可能性が指摘されている。加えて,西側海域の大活断層や敷地内の明瞭な活断層の存在も明らか になり,操業できるかも不透明だ。
また,英国で加工する予定だったプルトニウムについては,福 島第一原発震災後,MOX燃料製造工場の閉鎖で加工先がなくなった。
プルトニウムの利用は危険なうえ,管理保管するにも核防護上 の問題があるので,今後の生産・使用・売却は一切禁止し,現存するものについては,安全且つ軍 事転用が不可能な形で長期保管管理できるよう対策を検討する必要がある。
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