東 濃  初 夏 

ササユリの花

ササユリは、ユリ科、学名はLilium japonicum
(英語ではBamboo lily, Sasa lilyなど)

初夏の6月から7月ごろに薄紅色の花をつけます。

日本の中部地方以西だけに自生する百合の原種で、葉が笹の形に似ていることから笹百合と呼ばれます。

生育が遅く、種子から花をつけるまで7〜8年もかかると言われます。

病気にも弱いために栽培技術が確立されず、乱獲などもあり、なかなか見られない花になってしまいました。自生地の地元ではたいへん大切にされてきた花です。

ほんのりと甘い香りを漂わせる清楚な姿は、日本最古の書「古事記」中にも登場し、昔から多くの日本人の心を魅了してきました。

 神武天皇が奈良県の狭井川のほとりで、後の皇后となる伊須気余理比売命(いすけよりひめのみこと)と出会い恋をした時に、岸辺にはこのササユリの花が咲き乱れていたといいます。

 また、万葉集の中でもサユリ花として謳われています。

(撮影:早川しょう子)

 東 濃   

 カタクリの花

カタクリは、ユリ科の野草で、学名はErythronium japonicum。
早春のほんの一時だけ雑木林近くの地上にあらわれる代表的な春植物です。

うつむき加減に咲く紅紫色の可憐な花は、
ひとつひとつもとても美しいのですが、
群落はまるでピンクのじゅうたんのようです。

瑞浪市明世町月吉区(超深地層研究所の最初の建設予定地)
の中にあるカタクリの群落↓

カタクリは、万葉の時代から堅香子(かたかご)と呼ばれ、
ひとびとに愛されてきました。

 もののふの八十をとめらが
               
かたかご
   
汲みまがふ  寺井の上の 堅香子の花

 と、大伴家持も万葉集の中で詠んでいます。

 お寺の井戸の畔に咲き乱れてゐる片栗の花 を、少女たちが大勢にぎやかに水を汲む姿に重ねて詠んだのでしょう。

<撮影:早川しょう子>

シデコブシ:

モクレン科の高さ3〜5mの落葉低木。

桜と同じ頃に白や淡紅色のやわらかそうな花をつけます。

細長い花弁を12枚から18枚垂れ気味につけ、それが神道で使われる四手(細長い紙)に似ているところから、この名前が付いています。

 シデコブシは”生きている化石”といわれ、古代植物の生き残りともいわれています。世界でも東海地方(岐阜、愛知、三重)の湿った丘陵地にしか自生していません。

 環境省のレッドリスト(絶滅危惧類)にも載るシデコブシは、隣接する愛知県瀬戸市の万博会場「海上の森」の環境保護運動のシンボルの一つにもなっています。
 「貴重な里山を壊さないで!」という多くのひとたちの声で、万博会場は縮小移転を余儀なくされました。

 東濃地方は瀬戸とはお隣同士。古くから良質の陶土を産出し、陶磁器産業や焼き物でさかえた両地域の地質は、県境を越えてつながっています。

勝手にリンク:
「岡山理科大学 総合情報学部 生物地球システム学科
 植物生態研究室(波田研)のウェブサイト」へ


<撮影:早川しょう子>