第84期(2008年) 定期株主総会 事前質問

<事前質問>

→会社側一括回答

 

●電力需給・経営政策・自然エネルギー

1. 将来の電源としては、地域に密着した小規模分散型電源が自然エネルギーや各種廃熱の利用、コジェネ、災害への抵抗力、高圧送電の電磁波障害の解消、送電ロスの軽減、地元合意の容易さ、分権社会との調和などの点で優れている。当社としてもこれまでの大規模・遠距離電源に極度に依存した電源構造を早急に改善していくべきであると思うが、どうか。

2. 当社の当期の主要電源別の発電コストを聞きたい。なお、水力は一般水力と揚水に分けて示していただきたい。

3. 当社は2001年から2011年の間に石炭火力発電を410万KW増強する計画である。二酸化炭素をほとんど排出しないという理由で原発を推進しながら、主要電源のなかでは二酸化炭素をもっとも多量に排出する石炭火力をこのように大増強することは不条理ではないか。

4. 日本政府は2010年前後までに1990年比で6%の温暖化効果ガスの排出削減を国際公約している。このうち、電気事業については増減なしとされている。ところが、当社の2006年度の二酸化炭素総排出量は1990年度に比べて40%増加している。2007年度はどうであったか。

5. 当社の07年度の二酸化炭素排出実績を、政府目標との関連でどう評価しているか。

6. 当社は、新エネルギー利用特別措置法による新エネルギー利用義務量を達成するためにいかなる取り組みを行っているか。またこの義務量達成についていかなる見通しを持っているか。

●エコキュート

1. エコキュートは、深夜に沸かした湯を翌日1日かけて使うのだが、その際の熱損失(貯め置いているあいだに冷めてしまう分)を使用実態にもとづいて実測したことはあるか。あるとすれば、その値(最高、最低、平均)は、いかほどか。

2. エコキュートは、住宅街で深夜に運転されるから、騒音と低周波音にたいして特段の対策が必要である。ところで騒音対策と低周波音対策はトレードオフの関係になりがちだが、当社はエコキュートの騒音および低周波音の対策にそれぞれいかに取り組んでいるのか。

3. 当社は、エコキュートの低周波音による健康被害の訴えが存在することを承知しているか。

●中国古陶磁問題

1. 太田宏次前会長との訴訟和解について、この和解は、事実上、損害賠償と退職慰労金を相殺したものと理解されるが、退職慰労金の支給は株主総会決定事項であるうえに、当社は2006年に取締役の退職慰労金制度を廃止しているのであるから、この相殺はそもそも成り立たないのではないか。

2. 太田宏次前会長が購入した中国古陶は、現在どのように活用されているのか。

●通信事業の総括

1. 当社は、子会社の中部テレコミュニケーション株式会社を売却しました。これは通信事業からの事実上の撤退と理解してよろしいですか。

2. また、当社のこれまでの通信事業の投資成果を明らかにしてください。今回の株式の売却で投資資金の一部は回収できましたが、過去の通信事業は黒字であったのか、赤字であったのか、またその金額と併せて明示してください。

3. さらに通信事業を統括する取締役はどなたですか。その方の責任はどうなりますか。

● 原子力の経済性について

1. 当社の浜岡原子力発電所の設備投資は、投資に見合う発電をしているのか。1号機から5号機まで1機ごとに以下の数字を示してください。
(1) 平成20年3月現在までの設備投資の総額
(2)平成20年3月現在までの発電電力量の総計
(3) 上記の2つの数字から、設備投資1億円あたりの発電電力量

●原子力発電の安定性
 当社は、原子力発電が安定電源であるというが、ここ10年間で、浜岡原子力発電所のすべての発電機を停止したことがあるか。もしあれば、その期間を答えてください。
 また、そのとき電気の供給に支障はあったか。

●浜岡原子力発電所の設備利用率について

 ここ10年間の最高、最低、及び平均を答えてください。

●原子力の大地震に対する脆弱性

1. 東京電力柏崎刈羽原子力発電所は、平成19年7月16日に発生した新潟県中越沖地震の被災により1年以上の運転停止が必至である。原子力発電所はかくも大地震に弱いのか。
 1年以上も復旧に要する原子力発電所は、電気の供給責任を義務づけられている電気事業者である当社には、不適当ではないか。

2. 当社は、浜岡原子力発電所が想定される最大規模の大地震の被害を受けたとき、どのくらいで完全に復旧できると予想しているか。1年以上かかるとすれば、原子力発電が安定電源とは言えないのではないか。

3. また、大地震の被害によって1年以上の運転停止が予想されるならば代替電源を確保すべきであるが、その用意はあるか。さらに代替電源が確保されているのならば浜岡原子力発電所はそもそも不要であり、過剰投資ではないか。

4. 当社の碧南石炭火力発電所が同様の大地震の被害を受けたとき、復旧の目途はどれくらいを予想しているか。

● 原子力発電の存在理由

1. 当社が原子力発電をしている理由は何ですか。

2. もし、当社が過去、原子力発電に一切、関与せず、一円たりとも金を使わずに、代わりに火力発電で供給していたと仮定すると、どれだけの経済的な損得がありましたか。

3. 原子力発電は二酸化炭素を排出しないから、地球温暖化阻止に寄与するとのふれこみであるが、将来、石炭火力で二酸化炭素の回収技術が十分経済的になった暁には、原子力発電の二酸化炭素を排出しないという優位性は消滅するのか。

4. 中部圏の繁栄を牽引してきた中部電力が、浜岡原子力発電所で大事故を起こし放射性物質をまき散らして、中部圏の繁栄に引導を渡す役回りを演ずる可能性もある。一般の製造業で同じ製品を作る場合、副産物として猛毒をため込む方法とそうでない方法があり、その両者に経済的な大差ないならば、猛毒を発生させる方法はあえて選択しない筈である。
 当社の賢明なる取締役の方々にはこの常識に立ち返って頂けませんか。過去の実績から原子力発電の優位性が仮にあるとしてもそれは相対的に小さいものでしかありません。そうであるならば猛毒の放射性物質を大量に発生させる原子力発電は選択してはなりません。
 かつて変圧器にPCBを使うことを中止した、電力会社の経営判断をもってすれば、原子力発電を中止することは当然至極です。PCBの後始末に難渋している現況を勘案すれば、原子力発電の猛毒の放射性廃棄物の後始末ができるとは到底考えられない。

● 石炭の備蓄

 碧南石炭火力発電所の石炭の備蓄量は、通常の消費量の何ヶ月分か。昨今の豪州の豪雨、積出港の運搬船の混雑等、石炭の調達が厳しくなっているが、備蓄量を増やす計画はあるか。

● 浜岡原発の耐震安全性問題

1. 当社は、この地域で安政東海地震より大きな地震は起こりえないと考えているようであるが、
 その根拠はなにか。

2. 一昨年5月に発表された原子力安全委員会の耐震指針検討分科会報告書では、想定を超える地震動により深刻な被害が発生する可能性(いわゆる「残余のリスク」)が存在することが確認されている。当社は、この「残余のリスク」にたいしていかなる対応を行うのか。

3. 「残余のリスク」が存在するということは、当社が(とりわけ原発立地現地において)長年にわたって行ってきた「原発は絶対安全である」という言明と矛盾するのではないか。

4. 「残余のリスク」が現実化して大規模な放射線災害が発生した場合、当社が、原子力損害賠償法第3条による免責の申し立てを行う可能性はあるのか。

5. 浜岡原発3号機と4号機について、新しい耐震設計審査指針に基づく評価報告書(以下、「バックチェック報告書」と言います。)が現在国の審査を受けています。報告書の提出以降、何回の審議が行われましたか。経済産業省原子力安全・保安院関係の委員会と、原子力安全委員会での委員会それぞれについて委員会の名称と回数お知らせください。
 また、その進捗状況についてもご説明ください。
(株主の中にはインターネットを見られない人もいますので、ネットで調べよという回答はしないでください。)

6. 浜岡3号機、4号機のバックチェック報告書について、国の審査がまだ終わっていない段階であるにもかかわらず、現在、なぜ浜岡3号機、4号機が運転されているのですか。審査結果を待たなくてもいい理由は何ですか。国の安全審査は、あまり重要なものではないということですか。

7. 柏崎刈羽原発を直撃した中越沖地震は、M6.8でありながら、実際の観測値ですでに浜岡原発で想定されたS2や現在審査中のSsについても一部周期で超えています。S2やSsを超える地震動が、現実に柏崎刈羽で観測されたことについて、取締役社長は驚かれましたか、それとも驚きませんでしたか。(安全余裕がどうこうという話にすり替えないで単純にお答えください。想定外で驚いたか、想定内だった或いは数値には関心がないかという質問です。)

8. M6.8の中越沖地震によって柏崎刈羽原発で起きた、浜岡原発のSsをも超えるほどの大きな揺れは、M8クラスの地震に直撃される浜岡原発であっても、起こりえないと考えていますか。基準地震動Ssを一部でも超過する地震動に見舞われる確率を浜岡原発では何%程度と見ていますか。

9. 中越沖地震という現実を経験した今、基準地震動Ssを策定した当時は分からなかったことが明かになっています。浜岡原発のSsの地震動について再検討する必要があると考えますが、いかがですか。

10. 今回、柏崎刈羽原発で推定された解放基盤表面での最大加速度は1号機で1699ガルに達しています。現実に起きたM6.8の地震でこの値です。浜岡原発で想定される地震の震源断層からの距離は柏崎刈羽原発と大差なく、地震のエネルギーは60倍以上になります。耐震裕度向上工事で目標とされている地震動1040ガル程度の想定では不十分なのではないですか。1040ガルで十分であるとするならその根拠をご説明ください。

11. 柏崎刈羽原発を直撃した地震の揺れは、推定される震源断層から発する平均的な地震動より2倍〜4倍大きいわけですが、浜岡原発の場合についても、地震動が大きく増幅される条件は無いのですか。もし無いとしたら、そのことをどのように証明できますか。
 あるとしたら、それをどのように評価しましたか。バックチェック報告書に評価の記述があるなら、その箇所を明らかにしてください。

12. 運転マニュアルについて:
 当社には、強い地震を想定したマニュアルはあるのか。中越沖地震の時、東電は地震を想定したマニュアルはなくて、事故対応でおこなったとのことである。
 また、中越沖地震を踏まえて、マニュアルや保安規定の見直しは行なわれたのか。

13. 中越沖地震では、柏崎刈羽原発3号機タービン建屋1階(ペデスタル)で最大2058ガルを観測するなど、タービン建屋の揺れは、原子炉建屋よりも格段に大きいことが確認されました。揺れの大きさが半分程度だった柏崎刈羽7号機でも、検査半ばで低圧タービンの折損が2か所見つかっています。
 中越沖地震を凌ぐ大地震に浜岡原発が見舞われた場合、原子炉スクラム後、タービントリップして復水器の真空破壊をしても数十分はタービンの回転は止まりません。地震により破損した金属片の車室からの飛び出しについてどのような評価をしていますか。貫通を想定していますか。

14. 原発保険について:原発保険は、損害賠償保険も財産保険も地震免責である。原発の耐震安全性について、一般向けの安全宣伝よりも、まず保険会社に耐震安全性について理解してもらい、地震被害をカバーする保険を販売するよう保険会社を説得するべきではないか。

15. 5号機のタービンについて:日立製作所との損害賠償交渉の進捗状況はどうなっているのか。

● 六ヶ所再処理工場

1. 当社は日本原燃に対して出資し、再処理契約を結んでいるので、当然把握していなくてはならない事柄としてお尋ねします。
六ヶ所再処理工場の竣工時期の延期は、設置許可取得以降これまでに何回ありましたか。

2. 六ヶ所再処理工場は、5月までの予定では最終試験(アクティブ試験)の終了時期を5月とし、本格稼働を7月から開始するとされていましたが、すでに試験の終了時期は延期されています。延期になった原因は何であったのかご説明ください。

3. 新聞報道では、3月末からガラス固化に関する不具合が生じているそうですが、これはどのようなトラブルなのですか。

4. また、原子力研究開発機構のレポートでは、「核燃料サイクルの確立において、ガラス固化技術は枢要技術であ」るとされていますが、当社としても重要な技術であるという認識はありますか。

5. トラブルが根本的に解決されずにガラス固化作業が停滞し、高レベル放射性廃棄物の廃液タンクが容量一杯に達して、再処理コストの計算の前提である稼働率100%を維持できなくなる可能性はないのですか。

6. 最近報道された六ヶ所再処理工場直下の活断層及び大陸棚外縁断層に関して、当社はこの5月の学会発表後、日本原燃から耐震安全性についての説明を受けていますか。受けているとすれば、どのような説明でしたか。受けていないとすれば、何故説明を求めないのですか。

● プルサーマル

1. 英国で再処理して取り出したプルトニウムについて、加工を別会社のコジェマ社に委託する可能性はあるか。

2. 英仏で再処理され分離された回収ウランの加工先はどこか。英仏以外で加工する計画はあるか。

● 芦浜地点

1. 芦浜原発計画は地元の強い反対により当社は2000年に断念した。
 しかし、地元では芦浜が当社の所有となっていることに不安を持っている。
 芦浜を売却する意思はありますか?

2. 芦浜は具体的な活用方法の無いまま8年間経過したが、今後の活用策は何か?

3. 芦浜は環境省レットデータブックに絶滅危惧種として記載されているアカウミガメの産卵場所であることを認識していますか?

4. 芦浜は環境省レットデータブックに絶滅危惧種として記載されているハマナツメが多く確認されている場所であることを認識していますか?

5. 芦浜には他にも保護上重要な動植物が多数確認されていることを認識していますか?

6. 昨年の株主総会では芦浜における自然環境保全について株主からの事前質問の回答で、「専門家にご意見をお聞きするなど,生態系などの自然環境保全についても十分配慮しつつ,適切に管理を行っております」とあるが、アカウミガメやハマナツメ等の保護上重要な動植物等に対しての、具体的な保全の内容を示されたい。

7. 来年、生物多様性条約締結国会議(COP10)が、名古屋で開かれることから、この機会に会社として芦浜地点の貴重種を守るために、何らかの具体的取り組みを行うべきではないか。

● 浜岡原発の耐震性と柏崎刈羽原発の被災事故

 昨年の総会の直後、東電柏崎刈羽原発が中越沖地震によって被災しました。当初から想定を大幅に超える地震動が推定されていましたが、今年5月になって設計基準地震動450ガルに対して1699ガルと、ほぼ4倍に達していたという解析結果を東電が明らかにしました。

 問題はその要因です。地震発生様式は活断層による地震であったことから、当社の直面するプレート間地震とは異なるものの、震源断層破壊後の地震波の伝播については、大いに参考とすべきと考えます。

A.東電及び保安院がクロスチェックを委託した独立行政法人JNESの解析結果によれば、最大要因は深さ8キロに至る深部及び2キロ以浅の地盤において屈折収斂し、2〜4倍に増幅したものということです。

 これらのことを、東電とJNESは、原発直下の地質・地層構造を解明する中から導き出しています。具体的に記せば、褶曲構造を呈しており、向斜軸に沿って選択的に増幅したもので、とくに向斜軸上に位置していた1号機が、とびぬけて強い地震動を受ける結果となったとのことです。

 こうした発表を受けて、当社の公表している設置許可申請書及び耐震指針改訂に伴う3・4号機の再評価結果報告書に記された図版をもとに以下質問します。株主が正しく知るべき重要情報ですので、誠実に真実を回答ください。

1. 浜岡原発2号機と3号機のあいだには比木向斜軸が走り、同じように地震波が収斂する恐れがあるのではありませんか。

2. その直下の浅部褶曲構造は、深さ2キロ程度まで続くと見えますが、間違いありませんか。

3. この収斂効果による地震波の増幅効果はどの程度になりますか。3号機について試算し、総会当日回答ください。

4. さらに深部は、人工地震探査(昨年4月23日に保安院に報告)により5〜6キロ深さに至るまで緩やかに堆積層が重なり、かつ傾斜しています。違っていたら訂正してください。

5. この人工地震探査は、何時実施したものですか。

6. さらに深部の地質・地層構造について当社は把握していますか。

7. 今後こうした2次元もしくは3次元の地盤構造を調査する予定はありますか。

8. JNESでは、弾性波速度が大きく変わる層において増幅効果が大きいと推定しています。上述の人工地震による地下深部探査結果によれば、深さ2キロ周辺で約4割、その前後各1キロ深さにおいてもそれぞれ約2割と、横波速度は大きく減少しています。これらの層による地震波の増幅効果は、それぞれどの程度になりますか。試算して回答してください。

9. これらの堆積層の傾斜による増幅効果はどの程度と見積もれますか。

10. 設置許可申請書によれば、浜岡原発では解放基盤表面(深さ約20メートル)から原子炉建屋基礎板への入力に際して、およそ1割程度の減衰と解析されています。この関係は、地震動の大小によらずほぼ比例すると見ていいでしょうか。

11. 柏崎刈羽原発では、1〜4号機においてこの減衰効果が大きく、解放基盤表面でおよそ4倍の1700ガルまで増幅した1号機の場合には、原子炉建屋基礎板では約6割も減衰して結局680ガルであったとのことです。まさに不幸中

幸いでしたが、浜岡原発ではそれは期待できないということで間違いありませんか。
12. 以上をすべて総合したとき、サイトに到達する地震波は、最終的におよそどの程度の増幅と推定されますか。

B.当社経営陣は、解放基盤面において設計時600ガル、耐震再評価で自称800ガル、さらに耐震補強を行い1040ガルまでの地震動に対応できるとしてきました。

 地震の規模はM6.8とM8以上で格段に異なりますが、仮に柏崎刈羽原発と同様の1700ガルの入力ですんだとしても、原子炉建屋基礎板には1500ガルを越える地震動が達することになります。

想定東海地震の規模に応じてさらに大きな地震動に襲われるのは確実です。

1. 更なる補強が可能といえますか。じっさいのところ、1040ガルは補強限度ではないですか。

2. 可能だというのであれば、何ガル・・・どの程度まで補強可能ですか。答えてください。

3. 柏崎刈羽原発を他山の石として、浜岡原発は想定東海地震に備え全機とも停止するのがもっとも賢明な経営判断と考えます。新知見を前に、株主に納得できる回答を、総会当日お願いします。

会社側一括回答

 「分散型電源」につきましては,需要地近傍に設置可能であるなどの特長がある一方,環境面や設置スペース上の制約,系統運用面などの解決すべき課題もあります。

 したがいまして,分散型電源と大規模電源は,お互いの特長を生かして補完し合うことによって,より効率的な電力供給システムが構築できていくものと考えております。

「発電コスト」につきましては,平成19年度の営業費用における送電端の電源別発電単価は,1kWhあたり,水力は5円67銭,火力は10円31銭,原子力は7円10銭であります。この電源別の単価には,支払利息,一般管理費などは算入しておりません。
 なお,水力発電については,一括してとらえており,一般・揚水別には整理しておりません。

 「石炭火力発電」につきましては,石炭は,石油やLNGに比べて,資源量が豊富であり,埋蔵地域の偏りもないため,エネルギーセキュリティおよび経済性に優れておりますので,高効率発電プラントや石炭ガス化複合発電の技術開発に取り組むなど,C02の排出抑制に努め,今後とも石炭火力発電の利用を進めてまいります。
 当社は,地球環境問題などを勘案しつつ,安価で安定した電気をお届けするため,バランスのとれた電源構成を目指してまいります。碧南火力発電所の石炭の備蓄量については,1か月程度の在庫量を確保しております。
 今後も,必要かつ適正なレベルの在庫量の確保に努めてまいります。

 「C02排出量」についてでございますが,当社における平成19年度のC02排出量は,平成2年度に比べ40%増加いたしました。なお,平成19年度の実績が増加したのは,他社の原子力発電からの受電の減少や,販売電力量の増加が主な原因です。
 当社は,京都議定書・第1約束期間の5か年平均における1kWhあたりのC02排出量を平成2年度に比べ20%削減する,という自主目標の達成に向け,引き続き最大限の努力をしてまいります。
 なお,この自主目標は,政府が京都議定書の6%削減約束を確実に達成するために策定した「京都議定書目標達成計画」に組み込まれております。

「新エネルギー」につきましては,当社は,「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」にもとづき,新エネルギー等の義務量達成に向けて努力するとともに,新エネルギーの普及促進に積極的に取り組んでおります。
 具体的には,御前略風力発電所をはじめとした事業用風力発電,碧南火力発電所でのバイオマス発電,既存えん堤の未利用落差を利用した小水力発電の自社開発を行う予定です。
 平成19年度の義務量については,新エネルギーの余剰電力購入や自社設備である小水力発電,平成18年度からの繰り越しなどにより達成できる見込みであります。
 今後も,義務量達成に向け,最大限の努力をしてまいります。

 「エコキユート」についてでございますが,熱損失については,お客さまにより使用形態が様々であり,実測したものはございません。
 エコキユートの騒音および低周波音については,当社では直接対策を行っておりませんが,お客さまからのご要望は,各メーカーにお伝えしていきたいと考えております。
 なお,低周波音による健康被害に関しては,詳しい情報は承知しておりません。

 「中国古陶磁関連訴訟の和解における退任慰労金の取扱い」についてでございますが,当社では,平成18年6月の定時株主総会終結時をもって退任慰労金制度を廃止し,廃止時までの在任期間をもとに,当社の定める一定の基準による相当額の範囲内で,慰労金を打ち切り支給することといたしましたが,裁判所は,和解に関する所見のなかで,太田前会長に対して退任慰労金を支給しないことにより,当社の損害は実質的に填補されたと考えられる,という考え方を示しております。
 当社は,この裁判所の判断を受け,太田前会長に損害賠償金の支払を求めない内容で和解することとしたものでございます。なお,今回の和解の内容は,太田前会長に対して退任慰労金を支払うものではございませんので,株主総会の決議事項ではございません。
 中国古陶磁の活用方法については,引き続き検討してまいりますが,現時点では展示などは行っておりません。

 「芦浜の土地」についてでございますが,現時点では,土地の売却は考えておりません。
 芦浜の土地は,計画地の大半を取得し,一団の土地となっているため,具体的な活用方法については,土地の特性や収益性などの観点から引き続き検討してまいります。
 また,芦浜にアカウミガメやハマナツメなどの稀少動植物が生息・生育していることは承知しております。
 芦浜の生態系などの自然環境保全については,専門家のご意見をお聞きするなど,十分に配慮しており,定期的な巡視,山林の間伐,つる切り,下草刈りなど,山林の管理を適切に行っております。

 「情報通信事業」につきましては,事業方針の決定および事業の運営にあたり,取締役会等で適時適切な経営判断を行っております。
 今回,中部テレコミュニケーション株式会社,以下CTCと申しあげます,の株式の80.5%をKDDI株式会社,以下KDDIと申しあげます,に譲渡いたしましたが,この株式譲渡は,KDDIの経営資源を投入することにより,CTCの事業を発展させ,引き続き通信事業分野で,より一層の地域への貢献を図ることが目的であります。今後とも,KDDIと協調して事業を展開してまいります。
 なお,当社が保有していたCTCの株式の帳簿価額は約500億円であり,80.5%の株式をKDDIに約370億円で譲渡したため,CTCへの投資は,ほとんど回収いたしました。
 また,CTCの収支の状況については,加入者獲得費用が増加したことなどから,平成18年度は約20億円,平成19年度は約80億円の純損失を計上しております。

 「安政東海地震を上回る地震の可能性および残余のリスクヘの対応」についてでございますが,浜岡原子力発電所のある駿河湾から四国にかけての南海トラフ沿いの地域では,100年から150年の周期で繰り返し地震が発生しており,これらの地震による被害の記録が数多く残されていることから,地震の発生状況がよく知られております。
 これらの記録によれば,「1854年の安政東海地震」が,この地域に過去最大の影響を与えたと考えられます。浜岡原子力発電所では,想定東海地震はもとより,それを上回る安政東海地震に対し余裕をみた地震動を用いて,耐震安全性を確保していることを確認しております。
 さらに,耐震設計審査指針の改訂の審議を契機に,耐震上の余裕をさらに向上させる「耐震裕度向上工事」を実施しております。
 「残余のリスク」は,将来的に確率論的安全評価を安全規制に導入するための検討に資する情報として,事業者は,定量的な評価を行い,原子力安全・保安院へ報告することとされております。
 当社は,日本原子力学会において策定された確率論的安全評価の手法を用いて「残余のリスク」の評価を実施することとしており,結果がまとまり次第,原子力安全・保安院に報告する予定です。

 「原子力損害賠償法第3条」につきましては,「異常に巨大な天災地変」に該当するかどうかは,地震発生後に政府が判断するものでありますが,浜岡原子力発電所は,想定されるいかなる地震力に対しても,これが大きな事故の誘因とならないよう,十分な耐震安全性を確保しており,地震が原因で原子力災害が発生し,みなさまに損害を与えるようなことはないと考えております。
 万一地震により原子力災害が発生した場合については,国と締結している「原子力損害賠償補償契約」により補償されます。なお,その補償の範囲を超えるような損害が発生した場合には,必要に応じて国が援助を行うことが法律によって定められており,被害者の保護を図る仕組みになっております。

 「浜岡原子力発電所3,4号機の耐震バックチェック」につきましては,現在,国の審議会において当社報告書の妥当性について審議が進められておりますが,そもそも浜岡原子力発電所は,国の安全審査により,想定されるいかなる地震力に対しても,これが大きな事故の誘因とならないよう,十分な耐震安全性を確保していることが確認されております。
 新しい耐震設計審査指針に照らした耐震安全性の評価については,原子力安全・保安院が,耐震安全性の信頼性の一層の向上を図っていくことが重要との考えから,稼働中または建設中の原子力発電所の耐震安全性評価を実施するように各事業者に要請したものであり,稼働中または建設中の原子力発電所の耐震安全性を否定するものではありません。
 なお,当社報告書については,これまでに,原子力安全・保安院の審議会である「総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会」,ならびにその傘下の「地質・地盤ワーキンググループ」,「地震・津波ワーキンググループ」,これらの合同ワーキンググループ,および「構造ワーキンググループ」で計27回,原子力安全委員会の審議会である「耐震安全性に関する調査プロジェクトチーム」および「原子力安全委員会耐震安全性評価特別委員会」で各1回審議されております。

 「浜岡原子力発電所における基準地震動」につきましては,新しい耐震設計審査指針にもとづき,過去に発生した地震や活断層の状況などについて入念に調査・検討したうえで,想定東海地震はもとより,それを上回る安政東海地震に対し余裕をみて,地震動を適切に策定しております。
 原子力発電所の基準地震動は,地点ごとの調査結果にもとづき策定するものであり,震源特性や地盤の増幅特性などは地点ごとに異なることから,柏崎刈羽原子力発電所における中越沖地震の分析結果を,直接,浜岡原子力発電所に当てはめて評価するものではないと考えております。

「浜岡原子力発電所の地盤構造の地震動に与える影響」についてでございますが,地震動の評価にあたっては,地下深部から解放基盤表面までの地震動の増幅特性を適切に評価しております。
 浜岡原子力発電所の地盤構造は,
昭和55年に実施された人工地震探査やボーリング孔を利用した速度調査の結果,ほぼ成層構造であり,柏崎刈羽原子力発電所で見られたような地震動の特異な増幅はないと考えております。

 浅部地盤には緩やかな向斜構造が認められますが,地震波の伝わる早さには,この向斜構造の影響は認められません。
 また,浜岡原子力発電所の解放基盤表面と基礎盤レベルは,ほとんど同じ深さであり,両者の地震動の値にそれほど大きな違いはありません。
 なお,柏崎刈羽原子力発電所の基準地震動Ssなどの妥当性については,今後,国の専門家などにより審議されるものでありますが,国の審議などを踏まえつつ,浜岡原子力発電所の耐震安全性の検討に反映すべき知見があれば,適切に対応してまいります。

 「浜岡原子力発電所の耐震裕度向上工事の目標地震動」につきましては,基準地震動S2に対し,中央防災会議から公表された想定東海地震の地震動を考慮し,短周期側および長周期側に余裕を持たせ,さらに全体にわたって3割程度の余裕を持たせました。
 その結果,目標地震動は,中央防災会議による想定東海地震の最大395ガルの地震動の,2倍から3倍程度となっており,耐震裕度を向上させるうえで適切なものと考えております。

 「浜岡原子力発電所における運転マニュアル」につきましては,東海地震注意情報が発表された場合や,実際に地震が発生した場合などを想定した運転操作手順書が,中越沖地震の発生前からございます。
 この手順書については,中越沖地震に際し,柏崎刈羽原子力発電所でタービングランド蒸気俳風機の停止操作が遅れたことにより,タービン内の放射能が排気筒を経て放出された事象を踏まえ,タービングランド蒸気俳風機の停止操作手順の明確化を図りました。
 当社としては,引き続き,柏崎刈羽原子力発電所における調査結果等に関する情報の収集に努め,あらたに確認された知見等に適切に対応してまいります。

 「浜岡原子力発電所における地震によるタービン破損の影響」につきましては,万一,タービンの部品が破損した場合でも,タービン翼を覆っているケーシングやタービン建屋壁などにより防護される設計となっており,原子炉の安全性が損なわれることはありません。

 「浜岡原子力発電所5号機の低圧タービン羽根損傷に係る株式会社日立製作所への損害賠償請求」につきましては,タービンの復旧工事費などの直接損害につきましては,今後発生する点検費用なども含め,株式会社日立製作所の全額負担で合意いたしました。
 また,事故により発電できなくなった分を火力発電でまかなったことに伴う増分費用などの間接損害につきましては,現在協議中であります。できるだけ早く解決したいと考えておりますが,両社が共通の認識を形成していく必要があり,また過去に例がないことから協議には時間を要しております。

 「六ヶ所再処理工場」につきましては,現在,試運転の最終段階である使用済燃料を用いたアクティブ試験を実施しておりますが,日本原燃株式会社は,試験の進捗状況を踏まえて,竣工時期を7月に変更いたしました。
 なお,竣工時期の延期については,平成4年12月24日の事業指定を受けた以降で,10回あったと承知しております。
 六ヶ所再処理工場の高レベル放射性廃棄物ガラス固化設備については,ガラス固化体を安全性に問題なく製造できることが,アクティブ試験により確認されております。
 引き続き,ガラス固化体が安定して製造できることを確認するための試験が行われております。
 再処理工場の耐震安全性については,過去に発生した地震や活断層の状況などを総合的に検討し,想定されるいかなる地震力に対しても,これが大きな事故の誘因とならないよう,十分な耐震性が確保されております。
 そのうえで,新しい耐震設計審査指針が定められたことから,日本原燃株式会社はあらためて評価を行い,耐震安全性が確保されていることを確認し,昨年11月に国に報告し,現在,国による審議が行われております。
 また,日本原燃株式会社は,今後新しい知見が得られれば,必要に応じて適切に反映していくとしており,適時に報告を受けております。

 「原子力発電の経済性」についてでございますが,浜岡原子力発電所の帳簿原価の総額は,本年3月末現在で,約1兆5,000億円であります。この金額には,修繕費用,支払利息および一般管理費などは含まれておりません。
 また,浜岡原子力発電所の運転開始以降の発電電力量は,本年3月末現在で,約5,059億kWhであります。
 なお,号機別の数値については,詳細にわたる事項であるため,いずれもご説明は差し控えさせていただきます。
 設備投資1億円あたりの発電電力量については,原子力の経済性を直接判断する指標にはならないと考えております。平成16年1月に取りまとめられた電気事業分科会コスト等検討小委員会の報告では,原子力発電の経済性について「他電源との比較において遜色ない」との結論を得ております。

 「発電所の地震被害からの復旧」についてでございますが,浜岡原子力発電所は,想定されるいかなる地震力に対しても,これが大きな事故の誘因とならないよう,十分な耐震安全性を確保しております。発電設備の一部については,地震により損傷を受ける可能性がありますが,公衆に影響を与えることはないと考えております。
 地震後の発電所の復旧期間については,各設備の健全性確認や損傷を受けた設備の修理を行い,安全を確認したうえで運転を再開するため,一概には申しあげられませんが,ライフラインの一翼を担うものとして最大限の努力を払い復旧に努めてまいります。

 「原子力発電の安定性」についてでございますが,平成14年9月から12月にかけて,浜岡原子力発電所が全基停止したことがあります。そのときは,夏季の電力需要ピーク時ではなかったため,厳しいながらも安定供給を維持することができました。
 また,浜岡原子力発電所の設備利用率については,平成10年度から19年度までの10年間で,最高は平成12年度の87%,最低は平成14年度の34%,平均は61%であります。

 「海外で再処理により回収したプルトニウムおよびウラン」についてでございますが,海外で再処理して回収したプルトニウムは,海外で加工することを基本としており,イギリスで回収したプルトニウムについては,イギリス国内で加工することを考えております。なお,MOX燃料の加工にあたっては,燃料の品質および安全性に十分留意したうえで加工先を選定する予定です。
 また,回収ウランの加工については,フランスで回収したウランの転換・濃縮はフランスで実施いたします。イギリスで回収したウランについては今後検討してまいります。

 「原子力発電の必要性」についてでございますが,資源に乏しいわが国は,一次エネルギーの大部分を輸入していることから,電力の安定供給確保のためにはリスクの分散を図ることが重要であり,原子力,石炭,LNG,石油,水力等,バランスのとれた電源構成を目指していくべきであると考えております。
 その中で,原子力発電は,エネルギーセキュリティの確保や地球温暖化対策の観点から特に優れており,その経済性は,長期的に見て,他の発電方式に比べ遜色ありません。
 また,今後10年程度を見通してエネルギー政策の基本的方向性を示す「エネルギー基本計画」が昨年3月に改定されましたが,その中でも,「核燃料サイクルを含め,原子力発電を将来にわたる基幹電源として推進する」とされております。
 このため,原子力発電は,今後とも電力需要をまかなうベース電源として,欠かすことのできない重要なものであり,原子力発電を行わないということは考えておりません。
 浜岡原子力発電所内で発生した放射性廃棄物については,原子炉等規制法にもとづき,厳正に管理しております。
 また,発電所に万一重大な事故が発生した場合にも,多重防護の考え方にもとづく事故防止対策により,原子力発電所の安全性は確保されております。
 今後とも引き続き,安全の確保と地域の信頼を最優先に,浜岡原子力発電所の運転に努めてまいります。