第82期(2006年) 定期株主総会 事前質問

<事前質問>

→会社側一括回答

 ●電力需給・経営政策・自然エネルギー

1. 将来の電源としては、地域に密着した小規模分散型電源が自然エネルギーや各種廃熱の利用、コジェネ、災害への抵抗力、高圧送電の電磁波障害の解消、送電ロスの軽減、地元合意の容易さ、分権社会との調和などの点で優れている。当社としてもこれまでの大規模・遠距離電源に極度に依存した電源構造を早急に改善していくべきであると思うが、どうか。

2.当社の当期の主要電源別の発電コストを聞きたい。なお、水力は一般水力と揚水に分けて示していただきたい。

3.当社は2001年から2011年の間に石炭火力発電を410万KW増強する計画である。二酸化炭素をほとんど排出しないという理由で原発を推進しながら、主要電源のなかでは二酸化炭素をもっとも多量に排出する石炭火力をこのように大増強することは不条理ではないか。

4.日本政府は2010年前後までに1990年比で6%の温暖化効果ガスの排出削減を国際公約している。このうち、電気事業については増減なしとされている。ところが、当社の2004年度の二酸化炭素総排出量は1990年度に比べて23%増加している。2005年度はどうであったか。また、この実績を、政府目標との関連でどう評価しているか。

5. 当社の二酸化炭素排出量は、1990年比で20%以上も増大している。これは、工学的安定性に欠ける原発に依存した計画であったこと、およびその裏で石炭火力を大増設したことが大きな理由である。この計画はすでに破綻したのではないか。

6. 当社は、新エネルギー利用特別措置法による新エネルギー利用義務量を達成するためにいかなる取り組みを行っているか。

7.またこの義務量達成についていかなる見通しを持っているか。

8. 原子力損害賠償法第3条では、「異常に巨大な天災地変」による原発事故については事業者の賠償責任が免除されている。当社は、予想されている東海地震はこの「異常に巨大な天災地変」になる可能性があると考えているか。あるいは、絶対にありえないと考えているか。(毎年おなじ質問をしているが、明確な回答がない。)

9. 当社は、予想される東海地震でいかなる事態が発生しても原子力損害賠償法第3条による賠償責任免除の申し立てはしないと確言できるか。

10.本年5月にまとめられた原子力安全委員会の耐震設計審査指針(案)では、想定を超える地震動により住民に被曝を及ぼすような深刻な被害が発生する可能性(いわゆる「残余のリスク」)が存在することを認めている。当社は、この「残余のリスク」の存在を認めるのか、認めないのか。

11. 仮に認めるとすれば、それにたいしていかなる対応を行うのか。また、認めないとすれば、その理由はなにか。

 ●太田宏次前会長問題について

1.太田宏次前会長が購入した中国古陶磁は、現在どのように活用されているのか。

2.有効に活用されていないのであれば、購入額5億8千4百万円全額を当社の損失とみなすのが相当ではないのか。

3.昨年の総会以降の経過について報告されたい。

 ●川浦発電所について

 昨年の株主総会で、川浦発電所は「運転開始時期は延期を繰り返し、現在H27年以降とされている。工事の遅れは、無用な建設費の増加を生む。経営環境はますます厳しくなると予想されるので、計画撤回の決断は早く行った方が損失も少なく、地元のためにもよいと考えるがどうか。」という質問に対して、「電力需要の変化に応じて電気を効率よく安定供給するためには,ベース・ミドル・ピーク電源をバランスよく開発することが重要であることから,将来の重要なピーク電源と位置づけております。当地点は,平成7年11月に国の電源開発基本計画に組み入れられており,将来の需給見通しを踏まえ,必要な時期に運転を開始できるよう,今後も関係地域のみなさまのご理解をいただきながら開発を進めてまいりたい」との答弁を行っている。計画の撤回の判断を遅らせ335億円もの損金を発生させた原因がどこにあったのか、取締役会の見解を述べられたい。

 ●回収ウランについて

1. 昨年の株主総会で、回収ウランの組成を明らかにしてほしいという事前質問を提出していたにもかかわらず、質問していない回収ウランを再濃縮した後の「濃縮ウラン」の重量組成を公表したのは、どのような理由からか。

2 .株主の質問に答えるのは義務であるが、質問した回収ウランの組成については、なぜ答えがなかったのか。

3. 回収ウランそのものの組成を明らかにされたい。

4 .回収ウランを再濃縮した後に出る劣化ウランは、元の回収ウランの何パーセントか。

 
 ●MOX燃料について

1. 浜岡で使用する予定のMOX燃料の加工委託先をコモックス社に決定した理由は何か。(他社とどのような点を比較検討したのか明らかにされたい。)

2. MOX燃料集合体に組み込むウラン燃料棒の製造もコモックス社に委託決定したのか。

 ●使用済みMOX燃料の再処理について

1. ふげんの使用済みMOX燃料のうち再処理した燃料の元のプルトニウム富化度はいくらか。(この質問は、株主からの議案に対する取締役の意見として使用済みMOX燃料の再処理実績があると書いていたために質問しています。)

2. 同様に再処理したふげんの使用済みMOX燃料の燃焼度はいくらか。

 ●東海再処理工場からのプルトニウムについて

1. 今年1月6日に発表したプルトニウム利用計画のプレスリリースの中で、当社所有のプルトニウムのうち、国内の東海再処理工場で再処理をしている分が書かれていなかったのは何故か。当社が所有するプルトニウムはないのか。

2.もし、日本原子力研究開発機構に当社のプルトニウムを供出しているとすれば、その時期、量、有償であればその金額を明かにされたい。

 ●ハフニウム板型制御棒について

1. 浜岡3号機の使用済み制御棒について、欠損部が存在すること、すなわち破損を確認したのは何月何日か。

2. 破損を確認したという事実を保安院に伝えたのは何月何日か。

3. 5月に調査報告書を原子力安全・保安院に提出するまで、ひび割れとしてしか公表せず、破損していたことを公表しなかった理由は何か。

4. 調査報告書によれば、破損はおよそ10年も前に生じていたと推定している。破損部のシース片はこれまでにすべて回収されているのか。

5. 回収されていないとすれば、これまで10年間も原子炉内に金属片を抱えたまま運転していたということか。

6. 炉内異物の存在が判明した時点で、すぐに停止して探すべきではないのか。

7. 3号炉については、過去にひびおよび破損が確認されており、現在使用中の制御棒についても、その中性子照射量等から推定しても、ひび割れの発生や破損が十分推定されるのではないか。

8. 緊急停止を一手に担う制御棒に対して、万全を期すという姿勢とはほど遠いこのような運転を続けている発電所に対し、経営陣の責任を問う。

9. 破損は、ひび割れが最も進んだ結果生じるものであると考えるが、どうか。

10.もっともひび割れが進んだ状態、いわば最も深刻な事態をあえて隠していたことについて、情報公開のあり方に問題はなかったと言えるか。

会社側一括回答

 「分散型電源につきましては,需要地近傍に設置可能であるなどの特長がある一方,環境面や設置スペース上の制約,系統運用面などの解決すべき課題もあります。
 したがいまして,分散型電源と大規模電源は,お互いの特長を生かして補完し合うことによって,より効率的な電力供給システムが構築できていくものと考えております。

 「発電コスト」につきましては,平成17年度の営業費用における送電端の電源別発電単価は,1kWhあたり,水力は6円43銭,火力は7円88銭,原子力は6円33銭となっております。この電源別の単価には,支払利息,一般管理費などは算入しておりません。

 なお,水力発電については,一括してとらえており,一般・揚水別には整理しておりません。

 「石炭火力発電」につきましては,石炭は,石油やLNGに比べて,資源量が豊富であり,埋蔵地域の偏りもないため,エネルギーセキュリティおよび経済性に優れておりますので,高効率発電プラントや石炭ガス化複合発電の技術開発に取り組むなど,二酸化炭素の排出抑制に努め,今後とも石炭火力発電の利用を進めてまいります。
 当社は,地球環境問題などを勘案しつつ,安価で安定した電気をお届けするため,バランスのとれた電源構成を目指してまいります。

「CO2排出量」につきましては,政府が策定した京都議定書目標達成計画では,電気事業に関わりのあるエネルギー起源のCO2削減目標は,平成2年度に比ベプラス0.6%であります。
 当社は,平成22年度における1kWhあたりのCO2排出量を,平成2年度に比べ20%削減することとしております。
 この目標達成のために,原子力発電の利用率向上,火力発電の熱効率の維持向上,京都メカニズムの活用など,引き続き最大限の努力をしてまいります。
 なお,当社における平成17年度のCO2排出量は,平成2年度に比べ28%増加いたしました。これは,電力需要の増加に加え,CO2を排出しない浜岡原子力発電所の停止が主な原因です。

 「新エネルギー」につきましては,当社は,「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」にもとづき,新エネルギー等の利用目標量の達成に向けて努力するとともに,新エネルギーの普及促進に積極的に取り組んでおります。
 具体的には,風力発電について,複数ヶ所で風況や環境などの開発可能性の調査を実施しており,現在,これらのうち3地点6.8万kWについては,平成20年度の運転開始を目指しております。
 また,既設火力発電所でのバイオマス利用の検討や小水力発電の開発可能性の調査を行っております。
 しかしながら,利用目標量の達成は厳しいと考えられることから,これら自ら発電する方法に,クレジットの購入も加え,目標達成に向けて努力してまいります。

 「川浦水力発電所」についてでございますが,当社は,需給状況を踏まえつつ,安定供給を前提に,採算性・収益性を考慮し,最適な設備形成を行うこととしております。
 近年,電力需要,特に最大電力の伸び悩みが顕著となっており,今後についても,産業用を中心とした生産設備の合理化の進展や省エネルギー対策の進展などにより,電力需要の伸びは低位な水準が継続すると予想されます。
 また,当社を取り巻く経営環境は,業種・業態の垣根を越えた需要の争奪戦の激化や最近の原油価格の高騰など厳しさを増していくことが予想され,一層の効率化により強靱な企業体質を構築していく必要が生じております。
 当社は,このような情勢を総合的に勘案した結果,本年2月に同発電所計画を中止したものであり,経営判断としては適切であったと考えております。

 「原子力損害賠償法第3条」につきましては,東海地震が「異常に巨大な天災地変」に該当するかどうかは,地震発生後に政府が判断するものであり,当社が賠償責任免除の申立てをするものではないと認識しております。

 「耐震設計審査指針改訂案の解説に記載されているいわゆる残余のリスク」につきましては,浜岡原子力発電所では,「マグニチュード8.0の想定東海地震を上回る,マグニチュード8.4の安政東海地震」,さらに「この規模を上回るマグニチュード8.5の地震」による敷地での地震動に余裕をみた,岩盤で最大600ガルの地震動に対して,施設に生じる揺れの大きさや,地震に対する施設の耐力を厳しめに見積もることなどにより,余裕のある耐震設計を行っており,「残余のリスク」は小さいと考えております。
 さらに,耐震設計審査指針改訂の審議を契機に,耐震上の余裕をさらに向上させる「耐震裕度向上工事」を自主的に行うことを昨年1月に公表し,現在,工事を実施しております。

「回収ウラン」につきましては,再処理によって使用済燃料から回収されたウランを「回収ウラン」と呼んでおり,濃縮前のものと濃縮後のものがございます。
 昨年のご質問では,「再処理由来の劣化ウランの組成」とされており,濃縮の前後が不明確でしたので,ウランのリサイクル,再使用の観点からより重要と考えられる,濃縮後の回収ウランの組成を回答させていただきました。
 濃縮前の回収ウランの重量組成は,再処理する使用済燃料の初期ウラン235の濃縮度,取出燃焼度などに依存しますので,一概には申しあげることはできませんが,一例をお示ししますと,ほとんどがウラン238で,ウラン235が約1.0%,ウラン236が約0.3%,その他にウラン232,ウラン234,マイナーアクチニドなどが微量含まれております。
 なお,回収ウラン再濃縮後の劣化ウランの発生割合については,再濃縮時の諸条件により変動することから,一概に申しあげることはできません。

 「浜岡原子力発電所に装荷する予定のMOX燃料加工」につきましては,グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン社に委託し,同社が,その一部をフランスのコモックス社に再委託する予定でございます。
 コモックス社への再委託については,当社がフランスにMOX燃料の材料となるプルトニウムを有していること,コモックス社はMOX燃料加工に関するA「EVAグループの窓口であり,同グループのメロックス社がMOX燃料の十分な製造実績を有していることから,適切であると考えております。
 なお,ウラン燃料棒の製造についても,グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン社に委託いたしますが,コモックス社には再委託しない予定としております。

 「ふげんの使用済MOX燃料の再処理」につきましては,独立行政法人日本原子力研究開発機構で実施されている事項であり,再処理した使用済MOX燃料の装荷前のプルトニウム富化度や燃焼度などの詳細については,当社では,承知しておりません。

 「日本原子力研究開発機構の東海再処理工場で回収されたプルトニウム」につきましては,昭和57年1月以降,6回にわたり,同機構に売却しており,当社がプルトニウム利用計画を公表した本年1月6日の時点では,当社の保有するプルトニウムはございませんでした。
 なお,当社が同機構へ売却したプルトニウムの総重量は,364kgとなりますが,その価額については,契約上のことであり,相手方もあることから,説明は差し控えさせていただきます。

 「浜岡原子力発電所3号機のハフニウム板型制御棒」につきましては,本年2月3日に,使用済制御棒の表面を覆っているシースの一部欠損を,点検記録により確認し,4月4日に,欠損部の影響評価を含めて,原子力安全・保安院に報告いたしました。
 その公表は,当初より調査結果がまとまった段階で行う予定としておりましたので,5月26日に行いました。
 なお,欠損部は,制御棒の作動時に,ひび割れが燃料集合体と接触したことにより発生した可能性があると推定しております。
 欠損したシース片については,それが沈下した場合および流れによって浮き上がる場合の挙動について評価し,安全性に影響を及ぼさないことを確認しております。
 つまり,シース片が一定程度以上の大きさのものについては沈下し,その場合は,燃料支持板の上部や制御棒案内管に停滞するものと考えられ,この状態では設備に影響を与えることはありません。仮に,制御棒駆動機構に入ったとしても,フィルタに捕捉されることから,制御棒の動作に影響することはございません。
 また,シース片が一定程度以下のものについては浮き上がる可能性がありますが,その場合は,原子炉内の流れによって原子炉容器の下部へ移動し,仮に,上昇流で燃料集合体に入り,流路に詰まったとしても,燃料集合体への熱的影響はごくわずかであり,また機械的損傷も与えないと考えられることから,燃料集合体の健全性が損なわれることはございません。
 なお,これまで,機器の点検において,欠損したシース片に起因する問題は確認されておりませんし,例えば,排ガス復水器出口モニタ,炉水ヨウ素濃度などの測定値にも変化は見られておりません。
 また,次回の定期点検時には,シース片が停滞していると考えられる当該制御棒の案内管内部等の点検を行います。
 運転中である浜岡原子力発電所3号機のハフニウム板型制御棒については,前回定期点検における動作確認および本年1月19日の原子力安全・保安院の指示にもとづく全挿入・引抜き動作確認試験の結果に異常がないことを確認しております。
 また,熱中性子照射量が,1平方センチメートルあたり,4.0×10の21乗個を超えるものは全挿入位置まで挿入しており,仮に,かかる制御棒にこれまでにひび割れが確認された制御棒と同様のひび割れが存在したとしても,構造健全性の評価により問題ないことを確認しております。
 一方,全挿入位置まで挿入していない制御棒については,次回定期点検までの熱中性子照射量が十分低い値となります。

 「中国古陶磁購入問題」につきましては,昨年の株主総会時点と同様,現在も名古屋地方裁判所で審理中でございます。
 今月中旬,裁判所との協議により,当社が提起した損害賠償請求訴訟を,いったん取り下げ,太田氏が提起した債務不存在確認請求訴訟の反訴として損害賠償を求めることといたしました。いずれにしましても,太田氏に対して当社の損害を請求することに変わりはございません。
 引き続き,当社の主張が認められるよう,最善を尽くしてまいります。なお,当社に生じた損害額は,購入額である約5億8千4百万円全額であると考えておりますが,太田氏に対する請求額は,購入額から,専門家による鑑定額を控除し,約4億4千4百万円といたしました。
 また,中国古陶磁の有効な活用方法については,引き続き検討してまいりますが,現時点では展示等の予定はございません。