「原子力発電」についてでございますが,まず「原子炉への装荷燃料」については,平成13年度末時点で,浜岡1号機から4号機の合計で421トンあり,燃料価額は396億円であります。
次に,「浜岡原子力発電所1号機の余熱除去系の蒸気凝縮系配管の破断」についてでございますが,破断の原因は,原子炉内で水の放射線分解により発生した水素が蓄積・燃焼したことによるものであることから,水素を蓄積させないことを根本的な対策としております。
水素注入については,現在実施している注入量では主蒸気中に含まれる水素濃度が注入前よりも低下することを確認しており,今回のような破断につながるものではありません。
また,貴金属注入については,水素を蓄積させないことを根本的な対策としているため,貴金属が存在しても燃焼する水素が存在しないことから,問題ないと考えております。
このことから,原子炉内の応力腐食割れ対策として,水素注入および貴金属注入を継続することに問題はないと考えております。
水素や酸素等の非凝縮性ガスが蓄積するメカニズムですが,実機大の試験装置を用いたガス蓄積試験などから推定した結果は,妥当なものと考えております。
また,水素が着火に至るメカニズムについても,着火試験から推定した結果は妥当なものと考えております。
これらの結果については,経済産業省原子力安全・保安院および原子力安全委員会から妥当なものであると評価されております。
ドイツのブルンスビュッテル原子力発電所の事象につきましては,当社は,現地へ社員を派遣し,同発電所の状況およびドイツの同型炉における対策状況や水素蓄積に対する知見等について調査を実施いたしました。
また,本年4月には,原子力安全委員会事務局が同発電所を訪問調査し,5月の同委員会原子力事故・故障調査専門部会ワーキンググループに事故の状況,ドイツの安全規制体系等について報告しております。
なお,浜岡1号機から4号機の原子炉圧力容器ヘッドスプレイ配管の構造は,ブルンスビュッテル発電所とは異なり,当該部位は水に満たされており,蒸気が行くことはないことから水素の蓄積はありません。
先程も申しあげましたが,根本的な対策は,水素を蓄積させないことです。浜岡1号機から4号機について,水素が蓄積・燃焼する可能性がある個所を調査した結果,1・2・3号機とも余熱除去系の蒸気凝縮系配管のみであり,4号機については該当する箇所がないことを確認しました。
蒸気凝縮系は,原子炉が隔離された場合の炉心の崩壊熱の除去手段として設置されたものです。しかし,原子炉隔離時の炉心の崩壊熱除去については,通常の運転方法として,主蒸気を「逃がし安全弁」によりサプレッション・プール水中に放出するとともに,原子炉隔離冷却系の補給水により原子炉の水位維持を行うことが可能であり,蒸気凝縮系の機能をなくしても問題はありません。
蒸気凝縮系は,安全上必須な機能ではないことから,高圧注入系と同時に損傷したとしても,安全機能を有する2つの系統が同時に機能を喪失することにはなりません。
なお,原子炉内から発生する水素の量ですが,浜岡1号機を稼働率80%で1年間運転するのに,約2千万トンの蒸気が必要であり,この中には,百万分の2程度,約40トンの水素が含まれます。この水素は,気体廃棄物処理系で水に戻しております。
原子力発電所の安全確保対策につきましては,「放射性物質に対して周辺の方々と発電所で働く人々の安全を確保すること」を大前提として,多重防護の考え方に基づき,異常の発生防止,事故への進展防止,放射性物質の放出防止という3段階の対策を,設計,建設,運転の各段階で実施しております。
今回の配管破断事故では,当該配管の水素蓄積は予見できませんでしたが,配管破断後速やかに隔離弁が閉弁して蒸気漏えいが停止し,放射性物質は原子炉建屋内に閉じ込められ,環境への影響はありませんでした。これは,多重防護により原子力発電所の安全性が確保されていたものであります。
原子力発電所では,考えられる様々な事象のうち最も厳しい事象が発生したとしても,安全が確保される設計としており,その意味では,今回の配管破断は予め想定された範囲内の事象でした。
次に,「浜岡原子力発電所1号機の制御棒駆動機構ハウジング部からの水漏れ」についてでございますが,1号機の残り88本と2号機の137本全てのハウジングの点検には,1ミリメートルの40分の1のワイヤを識別することができる,解像度のよい水中カメラを使用し,異常のないことを確認いたしました。
応力腐食割れは,材料,環境,応力の条件が重なれば発生の可能性がありますが,必ず発生するというものではなく,いわゆる「老朽化」とは考えておりません。また,応力腐食割れは,表面より発生するものであるため,原子炉圧力容器内側からの目視検査で確認が可能です。
モックアップ試験は,製作当時の材料を用い,当時の溶接条件・手順に従い,実機と同一サイズで忠実に再現して実施したものであり,調査結果は妥当なものと考えております。なお,この結果は原子力安全・保安院および原子力安全委員会からも妥当であるとの評価を受けております。
今回取り替える制御棒駆動機構スタブチューブの周辺は,中性子照射量が十分低いことから,中性子脆化(ぜいか)は進んでおらず,溶接時の残留応力に影響はなく,問題とはなりません。
1号機の運転再開日については,対策を確実に行うことが優先であり,運転再開はそれからのことと考えております。
8月20日を目途に運転再開というものは,平成14年度供給計画の届出にあたり,運転計画を想定したものであり,この日程で運転再開すると決めたものではありません。
1号機の事故に対する原因究明,対策費については,現在の見積もりでは,1・2号機合わせて80億円程度となります。
2号機の水漏れについては,原因調査・対策内容がまとまったところであり,対策工事の全体がはっきりしておりませんので,現段階では申しあげられません。
燃料費の焚き増しによる平成13年度の収支影響額は,100億円程度と見込まれます。
平成14年度の収支影響額は,1・2号機の運転再開時期がはっきりと決まっておりませんので,現時点では申しあげられません。
「浜岡2号機」につきましては,1号機の事故を受け自主的に運転を停止し,余熱除去系の蒸気凝縮系配管への仕切弁設置,制御棒駆動機構ハウジング部の全数点検,過去のプラント運転データの確認,設備の耐震性チェック等を実施し,5月24日に起動いたしましたが,配管溶接部からの水漏れが発見されたため,手動停止いたしました。その原因でございますが,当該水抜き配管が,低圧注入管の振動と共振して,溶接部に大きな力が繰り返し加わったことによるものと推定いたしました。当該部分の対策としては,支持金具の取付位置の変更等をすることといたします。
2・3号機の運転再開につきましては,地元を始めみなさまへのご説明を経て行ったものであり,ご理解をいただいたと考えております。
特に,2号機の運転再開にあたりましては,地元5町のみなさまに対し,1号機事故の原因と対策や耐震チェックなどについて訪問対話活動を,浜岡原子力総合事務所の所員約450人が,4月30日から5月10日に,実施いたしました。これは,広報活動の一環であり,費用の算出はできません。
また,プラント起動に際しては,安全・安定運転に必要な機器の外観点検,作動確認等を実施するとともに,通常の定期点検後の起動時と同様の工程で,温度・圧力などの監視項目や設備・機器の状態を一つ一つ確認しながら起動したものであります。
浜岡原子力発電所では,定期点検で設備に応じ,その品質,機能などを確認するとともに,必要に応じ機器の取り替えなどの予防保全対策の実施や最新の知見の反映に努めております。
配管については,供用期間中検査としての非破壊検査による点検や超音波による肉厚の点検など,さまざまな点検手法により健全性を確認しております。
原子力発電は,経済性,長期的な電力の安定供給確保,地球環境問題の観点から優れた電源であり,浜岡1・2号機ともに引き続き当社にとって必要な電源と考えています。1・2号機については,種々の対策を確実に実施したうえで,一層の安全確保に全力で取り組んでいく所存です。廃炉については,考えていません。
「浜岡原子力発電所3号機」につきましては,昨年9月より定期点検を実施しており,この間に1号機事故への対応を実施しました。
配管破断への対応として,配管内に水素が蓄積・燃焼する可能性のある部位が,原子炉隔離冷却系から分岐している余熱除去系の蒸気凝縮系配管のみであることから,配管内への水素の蓄積を防止するため,分岐部に仕切弁を設置しました。なお,その他に水素が蓄積する箇所はありません。
また,制御棒駆動機構ハウジング部からの漏えいへの対応として,過去のプラント運転データの確認や原子炉圧力容器の耐圧試験による確認を行うとともに,圧力容器の下部に露点温度の測定点を設置し,監視を強化しました。
これらの対応につきましては,昨年12月に,原子力安全・保安院より,妥当であるとの見解が示されております。
今回の事故等に関する申し入れについては,スケジュールや会場などの都合により,対応できなかったこともありますが,誤解のないよう直接お話のできる説明会や勉強会を設けるなどして,誠意を持って対応してきております。
昨年12月1日の浜岡原子力館での抗議文の提出については,対応させていただく準備をしておりましたが,一般のお客さまにご迷惑がかかるような状況が発生したため,今後このようなことがないよう直接お願い申しあげた次第でございます。
仮処分事件に関する資料等については,債権者の方々とは,必要に応じ裁判所を介してやり取りすべきであると考えており,裁判所外で直接やり取りすることは控えさせていただいております。
なお,新聞折込に関しまして,当社から販売店に配布を取りやめるように働きかけた事実は一切ございません。
次に「浜岡原子力発電所の耐震安全性」についてでございますが,想定されるいかなる地震力に対しても,大きな事故の誘因とならないよう十分な耐震性を有した設計をしております。
具体的には,「マグニチュード8.0の東海地震を上回る,マグニチュード8.4の安政東海地震」,さらに「マグニチュード8.5の限界地震」を,いずれも敷地が震源域内に含まれる足下(あしもと)の地震として考慮し,余裕を見て設計用基準地震動を設定しております。この設定の際には,実際の地震観測記録を再現できる計算手法により詳細に地震動を評価しております。
また,原子炉建屋などの重要な建物・構築物は,相良(さがら)層という堅固な岩盤上に設置しております。
さらに,「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」に基づき,水平地震力の2分の1の静的な鉛直地震力にも耐えられるよう設計するとともに,原子力発電所の重要な建物は,上下動に対して極めて強い鉄筋コンクリート壁式構造を採用しております。
これらの浜岡発電所の耐震安全性については,国による安全審査において,多くの学識経験者を含めた審査により確認されており,設計,建設,運転の各段階において,国による厳重な審査・監督の下で万全を期しております。
さらに,原子炉を自動的に停止させる地震検知装置を設置しております。
東海地震については,昨年,中央防災会議により見直された新しい想定震源域は,従来の想定震源域に比べて西側,すなわち,浜岡発電所から遠くなる方に拡がっており,地震の規模はマグニチュード8.0程度と従来と変わらないため,東海地震に対する安全性は確保されているものと考えておりますが,今後とも,新知見に対しては積極的に対応してまいります。
「耐震設計審査指針」については,平成7年の兵庫県南部地震を踏まえましても,その考え方が妥当であることが,原子力安全委員会の検討会において確認されております。
なお,この地震においても,すべての建物が倒壊したわけではなく,基準に基づき耐震性に配慮された建物については被害がほとんど無かったことが,建築学会等から報告されております。
浜岡発電所周辺地域では,限界地震としてのマグニチュード8.5の地震は起きておりませんが,マグニチュード8.4の1854年の安政東海地震の際,岩盤上にあったために耐えた民家があることが知られております。
安全上重要な原子炉圧力容器,およびこれに接続される配管などの原子炉冷却材圧力バウンダリについては,マグニチュード8.5の限界地震に耐えられるよう設計されており,原子炉の冷却材が失われることはありません。
原子力発電所の機器,配管等は,それぞれの振動特性を考慮するとともに,その設備が設置されている各建屋の揺れ方の違いを考慮して設計しております。
具体的には,原子炉建屋とタービン建屋はともに岩盤の上に隣接して設置されており,振動のずれはさほど大きなものとはなりませんが,建屋間を貫通する渡り配管については,それぞれの建屋が逆方向に最大揺れた場合を考慮して設計しております。
制御棒駆動機構についても,限界地震に対して機能が維持されるよう設計されており,地震時の制御棒の挿入性については,多度津工学試験所の大型振動台等にて実機を模擬した試験体により,限界地震を超える地震動に対しても規定時間内に制御棒が挿入されることが確認されております。
なお,制御棒のスクラム挿入時間は,1・2号機が90%挿入位置で3.5秒以下,3・4号機が75%挿入位置で1.62秒以下,5号機が60%挿入位置で1.44秒以下となっております。
また,上下方向の加速度が作用しても挿入性に影響しないことは,多度津の実証試験においても確認されております。多度津の振動台は,水平1方向,上下方向の2次元加振ができます。
構造物にとって,最も厳しい方向に加振することにより,その構造物の最低の強さを確認することができるため,水平方向は1方向加振でも十分機器の耐震性は確認できます。また,必要に応じて,試験体を90度回転して載せ替えて再度加振することにより,2方向加振と同等の確認を行っております。
「耐震設計審査指針」策定前の旧基準により設計された浜岡1・2号機の耐震安全性は,指針策定後に設計された3から5号機と同じ地震動を用いて評価し,十分安全であることを確認しております。
その結果は,国に説明し確認されており,「浜岡原子力館」,「でんきの科学館」にて公開をしており,その中には,原子炉建屋などの地震応答解析結果や耐震性評価結果が記載されております。
浜岡1・2号機については,運転開始から20数年が経過しておりますが,経年変化を考慮して十分に余裕を持って設計しております。また,運転開始後は年1回の定期的な検査により,設備の重要度に応じ,その品質,機能等を確認し,必要に応じて設備を取り替えるなどの予防保全対策を実施しております。
建物についても,これまでに,必要に応じてコンクリートのサンプルを採取し,強度をはじめとして劣化のないことを確認しております。
しかしながら,地元のみなさまに東海地震への懸念があることから,本年2月から4月にかけて現場での点検による耐震チェックを実施し,現時点でも耐震性が確保されていることを確認しております。
コンクリート強度の測定にあたっては,反発度法により表面の反発度から強度を測定するとともに,一部内部からもコアサンプルを採取して,強度を測定いたしました。
コアを採取した空間部は,十分な強度のモルタルにより補修しており,強度低下はありません。
これらのコンクリート強度は,建設当初および今回の耐震チェックにおいても設計基準強度を上回ることを確認しております。
コンクリートの設計基準強度は,各号機毎に使用材料の条件に合わせて適切に設定しており,それぞれの設計基準強度に応じて,部材の大きさや厚さの設計を行っているため,耐震安全性は確保されます。
耐震チェックの結果については,新聞広告やホームページなどでお知らせしており,また,公募で参加していただいたお客さまに現場をご見学いただくとともに,実際の耐震チェックを体験していただいております。
このように,耐震安全性に関する情報につきましては,対話活動などの機会を通じて誠実かつ丁寧な説明を行いご安心いただけるよう努めております。
したがって,公開討論会を開催する考えはありません。
以上のように,浜岡原子力発電所は,十分な耐震設計を施しており,地震が原因で原子力災害が発生し,みなさまに損害を与えることはないと考えております。
「原子力損害の賠償に関する法律」における「異常に巨大な天災地変」については,日本の歴史上あまり例の見られない大地震,大噴火,大風水災(だいふうすいさい)等をいいます。例えば,関東大震災は巨大であっても異常に巨大なものとはいえず,これを相当程度上まわるものとなります。
また,東海地震の前に浜岡発電所を停止させておく必要性はないと考えておりますが,警戒宣言が発令された場合には,需給状況を勘案しプラントを停止することにしております。