1月30日(水)交渉時における中部電力からの回答

昨年(2002年)12月3日付けで提出していた質問書に対し、中部電力から1月下旬に文書回答が来ました。しかし、部分的にしか回答がなかったこともあり、1月30日に改めて浜岡原発1号炉事故に関するヒアリングを行いました。これはその時のメモです。     (2/5 20番の説明の赤い字の部分をちょっと修正)

中部電力の説明者は:

   原子力管理部 品質保証担当: 鈴木氏、斉藤氏、 
   同    部 業務グループ: 川崎氏 
   広 報  部 :安田氏、鈴木氏、田中氏、
   総 務 部 :森氏

<中部電力の口頭回答>

1.a)秒単位では分からない。
  b)バルブの開閉順序については、中間報告にもあるので省略。

 非常用の注水系統の作動試験を10月3日からほぼ1月ぶりに行った。
 運転員が非常高圧注入系のポンプを起動し、2〜3秒後にポンプの出口流量の上昇操作を開始(閉じていた隔離弁を開け、そして調整弁を開いて流量を増やす)。
 そうした操作をしていたら、中央制御室と現場でドーンという衝撃音がきこえた。それが17:02の何秒頃かは把握していない。
 高圧注入系(HPCI)の蒸気管差圧「高」という信号が出る。これは破断箇所の蒸気が流出したことによる(主タービン等へ通じる他の配管との?)圧力差を示す信号。これを受けて、上流の隔離弁が「閉じなさい」という信号を受けて、2つ(格納容器バウンダリという格納容器の内と外)の隔離弁が同時に閉じた。これが閉じ終わるまでが約30秒程度。閉じ始めた秒単位の時刻は今手持ちの資料がなく即答できない。
 差圧高という信号が入った同じ時間に、原子炉建屋の中の火災報知器が、全部で約50箇所ある中の10箇所で警報を発した。これも17:02の何秒かについてのは資料はない。

c)19:05。起動試験の時は高圧注入系の起動状態を確認するために、地下2階の現場に運転員が一人待機していた。17:02に火災報知器など色々な信号が出たので17:05に中央制御室から待避命令が出た。それでこの地下2階にいた運転員は原子炉建屋から補助建屋に避難した。その途中で、原子炉建屋の中に蒸気のもやを確認した。

 火災報知器が鳴ったので現場確認に原子炉建屋の中に入った補修員が17:20に余熱除去系熱交換器室の前に水が溜まっているのを確認し、中央制御室にいる発電指令課長に連絡した。その時に初めて火災報知器の作動が蒸気の漏洩によるという判断ができた。(事象の経過の表参照)

d)中間報告などの事象の経過の表とほとんど同じことを説明

e)発電指令課長は、圧力や水位が安定していることを確かめたが、高圧注入系のポンプが自動停止して、ここへ通じる弁も閉まってしまったのでこれが使えないということから、高圧注入系の「待機除外」(緊急装置がスタンバイできない)と判断し17:25「運転上の制限逸脱」と判断した。

f)「逸脱と判断」してから正式に「プラント停止を決定」まで、確かに50分かかっている。この間には、補修員が、余熱除去系の通じる2階の部屋の扉が吹っ飛んでいて、通路に水たまりがあることを確認。その報告を受け、中央制御室とは別に緊急対策室という部屋があるのでそこへ緊急対策要員が全部集まって対策を検討していた。責任者はこうした状況の中で、高圧注入系が復旧するのは困難であるし(保安規定では10日間の内に復旧することができれば、運転継続できることになっている)、広い範囲で火災報知器が鳴っていて、原子炉建屋の中で蒸気が漏洩しているという状況を踏まえて、18:15最終的に原子炉停止を決定した。

 現場確認するときは、電気が切れていて真っ暗なので懐中電灯も持っていくが、全く何も分からないわけではない。放射線管理要員というのが放射線量を確認しながら、マスクなどの装備をして入るのでそう被曝はしない。

 確かに当初の避難命令が聞こえずに現場に入った人間はいる。ただ、結果的にほとんど被曝はしていない。
 (しかし、保安院からその時の指示の不徹底さについての指摘があったことについては、中電側も否定しなかった。)

「ページング」(事象の経過の17:05にある)というのは、中央制御室の電話から各部屋にある拡声装置に指示を流すこと。

「待避命令」というのは、原子炉建屋(地下2階、地上5階)の現場にいた運転員に対して、発電指令課長から出された「原子炉建屋から出なさい」という命令。待避する先は屋外でもタービン建屋でもいい。(中央制御室は原子炉建屋の2階にあるが、空気は遮断されている)
 「待避命令」とは、中央制御室の人間が持ち場を放棄して逃げたということではない。

(「避難命令」というのが、かつて日本の原発の事故なりトラブルで出されたことがあったかという問いには、中電のいずれの人も、「聞いたことがない」ということだった。)

避難命令が解除されたのは、翌日の8時。

g)連絡通報の内容は、「高圧注入系の定期試験のため7日17:02ごろに高圧注入系ポンプを起動したところ、起動と同時に原子炉建屋内の数カ所で火災報知器が作動し、同ポンプが停止し、高圧注入系が隔離した。原子炉建屋内に蒸気漏洩の可能性もある。」という第一報を電話とファックスで行った。

その後、1号機の手動停止の連絡を引き続いて行った。

h)滴下を事前に知っていて、あわてて一番最初に点検したということはない。CRDの下がどれだけ熱いかというと、格納容器内はクーリングしているので運転中でも66℃。昔のように中がものすごく熱いということはなく、職場の環境改善も進んでいて、2日後に原子炉の下から滴下を発見することは難しくない。
(上記の説明を確かめるため、通常の定期点検での点検順序などに関する資料を後で求めることになった。)

2.文書回答では約2トン。

3.圧力変化については、グラフを提示。(準備中)

4.〜5.11月16日に原子炉圧力容器の蓋を開けて検査したところ、汽水分離器、蒸気乾燥機などには変化はなく、健全であった。

6.〜10.は、文書回答があるので省略。

の図からみると配管の高低差は数mある。しかし、破断の後、蒸気凝縮系配管A系の高い行き止まり箇所に残っていた水素などが、B系の破断口から入った外気と入れ替わっていたことが、気体の分析結果からわかっている。事故後測ったA系の気体の組成は、ほぼ普通の空気と同じ。つまり、A系の行き止まり部分の水素が、いったん下方に通じる配管を下って、低い位置にある配管をくぐってB系破断口から外気に出たことを意味する。)

11.水が入っていた位置はまだ分からない。大体の想定はできるが、最終報告でないと分からない。
 また、破断箇所の下流の3つある弁は、一つは隔離弁であとの二つは蒸気調整弁で、廃止したものではなく生きている弁。

12.温度は測定していない。
 (高温の蒸気が冷えて凝縮することにより行き止まり部分の水素濃度が上がる状況を調べるには、配管のこうした部分の温度測定は必須となるはずである)

13.水と蒸気の接触面の変動はどうかというのは、まだ分からない。多分動くだろう。東芝の神奈川の工場で試験を行っているので、試験結果が出ればプレス発表したい。
 (実際にこれを調査するのは非常に困難だと思われる。しかし、気層と水の層がどういうふうに動くかというのは、水素の濃縮とも密接に関わる問題なので非常に重要である。)

14.文書回答にあるので省略。

15.第1種管、第2種管、第3種管などのちがいについて。
 告示501号によって、ここの配管はもともと第3種配管で区分されるものであるので、質問にある疑問は当たっていない。
 除外規定というのは、破壊靱性試験をしなくていい外径の配管のことを意味する。
 第1種も第2種、3種も同じ配管で。材質も口径も同じだから値段も同じ。第3種のものを第1種の部位に使うこともできる。
 第何種という規格の違いは、配管の強度を測定する際にクリアすべき試験が、どこに使用する配管かで違うということだけなので、物は同じ。
 第1種は、下表のように原子炉圧力バウンダリを構成する機器という(原子炉圧力容器とつながる配管で、圧力容器から隔離弁まで)ような形の区分でわかれている。

(つまり、圧力バウンダリの部分に使う第1種配管であろうが、今回の水素爆発のようなことが起これば、同様に爆裂して、壊れるということを意味する)

告示501

16.中電は文書回答で答えている(しかし、「保温材が巻かれていてもLBBを把握できる というようなことを本当に言っていいのか。程度問題ではないか」と問いただすと、「程度問題です」と中電も認めた。
 安全側に厳しいとはとても言えない。)

17.文書回答にあるので省略。中電は直接手を下して調査できるほど要員をかかえていないとのこと。

18.(中電の中間報告は今回結果的には入手することができたが、当初、東京文京区の原子力公開資料センターでは早々と公開されていたものを、名古屋の中電本社はなぜか公開できないと長いあいだ拒んでいた。)

19.「・・・」(中電側は、質問のような評価が設置許可申請書に書いてあることを知らなかったようで、無回答。)

20.これは、本来、圧注入系ECCS、余熱除去系蒸気凝縮系A系及びB系という3系統の配管が独立してそれぞれ圧力容器につながっていなければならないものではないかということ。3系統が一本の配管から枝分かれしているため、分岐部に新たに隔離弁を設置したとしても上流(少なくとも10m以上はある)でこの配管が1箇所破断したら、3系統がすべて使えなくなることの問題を指摘した質問。

 (中電の説明は、「余熱除去系蒸気凝縮系の2系統は廃止しても構わない系統」として、今回は分岐部に新たに隔離弁を設置した。今後将来もこの系統を封印してしまうのかどうかということについては、この場では聞かなかった。)
(そもそも余熱除去系蒸気凝縮系モードは、A系B系ともに一度も使用したことがない。今回の配管破断で蒸気のルートが使えなくなっても冷却水のルートで余熱除去することができる。原子炉を停止した後の崩壊熱を冷ます時には、通常は再循環ラインの途中のところから冷却水を引っぱってきて余熱除去し、また再循環ラインに戻して熱を取る。ちなみに4号炉ではもともと蒸気凝縮系の配管はなく、それを補完するための装置も特に付けていないということである。)

(余熱除去系蒸気凝縮モードはほんとうに必要のないものかということでは多少議論があった。;
例えば主タービンと原子炉が分断するなどの事故があった場合でも、残った崩壊熱の除去にも使わないのかどうか、という問いに対しては、中電は「圧力逃し弁」で対応すると答えた。しかし、この装置は圧力を逃すのが主な目的なので、蒸気を抜いて熱を取るという目的にかなうのかという疑問がある。それで「圧力逃し弁」だけで事足りるという事故解析のシミュレーションでもあるのか、と問うと、中電ははっきりとは答えられなかったが、逆に蒸気凝縮系モードで余熱を除去して事故に対応するというシミュレーションの事例もないのではないかと答えた。)

20.文書回答に記載。

21.9の(4)の「熱膨張を構造上から吸収する」というのは、配管をL字型にしたことを言う。

22.〜26は文書回答にあるので省略。

27.工場溶接

28.現場溶接である。

29.制御棒は水と一緒に上下させるので、圧力容器の中の高い温度と外から差し込む制御棒の低温との温度差を緩和するために、スタブチューブとハウジングの間に空気の層を設けて温度を馴染みやすくした。

 また、スタブチューブを取り付けることにより、上部のハウジングとスタブチューブとの溶接面を水平にすることができるので、現場でも溶接しやすくなるという利点もある。

30.アーク溶接だが、入熱管理は行っていない。溶接電流の管理はしていたが、1号炉の製造時は入熱量を管理するということは考えられていなかったとのこと。(これには疑問も残る)
 では、電流管理の記録を見せろというと、それは残っていないと言う。作業するときの電流の指定はあったが、記録は残っていない。
 (記録も残さずにはたして管理していると言えるのか。)

31.〜32.省略
 7月時点で露点計などの変化に気づいていて、多少の調査はしたが、結果的に見逃してしまったというのが中電の回答。(注意して見ていたのに見逃したということである。)

33.前述のとおり10日間。

34.ここでは「原子力発電所の保安活動」の元になった資料については答えられなかった。

36.〜38.は文書回答にあるので省略。

35.39〜41(脆性遷移温度について)

37.監視しながら温度管理を行っているので目安はない。

(1号炉で現在23℃というのは低いように思われた。ECCSで注入される水の温度は約30℃ぐらいだから、炉内が23℃になることはないけれども、近傍というのがあるはず。圧力も高い状態で水を押し込まなければならないから、過酷な条件になる。脆性遷移温度が問題になるのはECCS作動時であるから、それが使えないくらいに高くなっても廃炉にしないということでいいのか。)

35.原子炉圧力容器と同じ材質の試験片を炉内に入れて中性子を照射し、一定期間たったら取り出して試験を行うわけだが、試験する場所は、日本核燃料開発株式会社でシャルピー衝撃試験などを行う。

 個数については、引っぱり試験片が母材、溶接部、熱影響部で各3個ずつあり、合計で9個。衝撃試験片が、先の各々12個で合計36個。この合計45個が1セット。炉の中には、これが3セット入っている。これらは原子炉圧力容器と同じ照射条件にするために、壁のすぐ内側に入る。その他にもう一つ加速試験と言って、それよりもっと内側に置いて照射を受けやすくして行う試験がある。これは短期間にたくさん照射して、長期間浴びている状態を模擬するもので、これがもう1セット入っている。(これも9個と36個で計45個)従ってこれら合計4セット入っている。これを1セットずつ取り出して評価する。

 取り出す時期は、日本電力協会の電気技術規定(JEAC)の中に定められている。浜岡1号機で言うと、第1回目の取り出しは営業運転開始後5年たった時。第2回目が24年後。現在、この分は評価中。あと最後の1回は、だいたい当初の寿命と言われていた40年後に取り出すことになっている。

 一番最初1年目に取り出すのは、加速試験の1セット。その次5年目に1セット、24年後に1セット取り出した。現在炉内に入っているのは1セット。

(寿命が60年に延びたことにはどう対応するのか、という問いには、)現在、試験片の再生技術の研究が進められている。その目的は、試験の信頼性をあげるということでもあるし、長く使う場合のため。

(空白期間はどうなるのか。もし再度炉内に入れるという場合、第1回目のセットを出して2回目の時にそれを再度入れる場合と、第一回目に出したセットを3回目に再装荷する場合と、だいぶ条件が違うはずだがどうするのか、という問いには、’今考えているのは、24年目の第3回目に取り出したものを再生して再度入れるということだけ’と答えた。
 現在評価中の試験片を再装荷する場合、評価を終えてすぐ入れるのか、最後の残った1セットと入れ違いに入れるのかということについては、この場では確認できなかった。)

39〜41.脆性遷移温度の評価の方法などの疑問も出たが、再度あらためてヒアリングすることで、この日は終了。)


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