3月29日中部電力本社交渉のメモ

 <交渉に先立って提出していた申入書>


申し入れ

中部電力社長
 川口文夫 殿

2002年3月18日
きのこの会
名古屋市昭和区花見通1-59

 私たちは今年1月30日、貴殿に対し、浜岡原発3号炉の営業運転を開始すべく1月に調整運転に入ったことに対し、抗議し運転停止を求めました。
 しかし、貴社は私たちの申し入れにもかかわらず2月に営業運転に入りました。
 折しも、当社1号炉事故一ヶ月後の12月14日、ドイツのブルンスビュッテル原発(BWR)の炉心スプレイ系配管で同様の水素爆裂(推定)が発生したことを3月11日に知りました。これは1月30日に申し入れの根拠として挙げた私たちの主張を事実で証明することになりました。
 私たちは、あらためて3号炉の運転を即時停止することを求めるとともに、1月30日の申し入れに対する回答を求めます。
 また、ブルンスビュッテル原発事故についての貴社の見解を求めます。

3/29 中部電力交渉 メモ

3月29日(金)午後3時〜 於:中電本社

説明者:原子力管理部 品質保証担当:鈴木氏、斉藤氏
    同    部 業務グループ:川崎氏
    広  報  部:安田氏、鈴木氏、田中氏

(《》は中電側の発言・【○○】は市民側の発言)

■報道関係者の同席について

【○○】 前々回はオフリミットだったが、前回は交渉してこちらが説明するときはOK、中電が説明するようになったら出るということで妥協した。今回も交渉したが、前回と同様、中電は一歩も譲らなかった。実際には、今回はマスコミが来ていないが、なぜ説明の段階になったらマスコミに部屋を出て貰わなければならないのか、中電の理由は納得行かない。これは原則的なことである。

■「申し入れ」の趣旨説明
(1/30「申し入れ」参照)

■今回の交渉に関する説明

【○○】 今日は、1/30の「抗議ならびに申し入れ」---原因が分かっていない段階で3号炉運転再開は暴挙であること、運転再開にお墨付きを与えた保安院の評価は、論の構成として間違っており、ほかの所でも十分起きうること----に対し回答をもらうことになっている。
 今回(3/18)の申し入れは、少なくとも3号炉を運転開始すべきでないことを、ドイツの事故の事実の裏付けを以て申し入れした。
 また、ドイツの事故について、事故の内容と事故の評価のコメントを要望。評価により、1号から3号、4号への安全性への新たな対応をどう考えるのか。可能性をつぶすまで安全論が十分に尽くされている、施されているという納得できる説明がほしい。
 12/3の回答は評価するが、まだ納得したわけではないので、また追加の質問書を提出する予定である。

■申し入れに対する回答

《安田》 3号炉の運転再開については、中間報告の後、静岡県、浜岡町、周辺町村に説明した。2号機については、1号機と同じ時期に造られているということで心配する声が多いこともあって、現在停止して点検している。
 定検中の3号機については、定検も順調に進み1号炉の事故を踏まえて諸対策を終了し、1月8日に原子炉を起動して調整運転を開始。2月7日に経済産業省の最終検査に合格し営業運転再開した。1号炉については原因調査しているが、完全に解明された時点で、もし3号機に反映させるべきことがあれば、改めて適切に反映する。
 ドイツのブルンスビュテル原発で水素爆発が原因と見られる事故があったことは知っている。現在までの情報では、今回損傷したヘッドスプレイ系は、ブルンスビュッテル発電所の特有な構成と伝えられており、浜岡原発の系統構成と異なると見られている。現時点では詳細な情報を把握していないので、今後情報収集に努めたい。

■ 中電の「安全論」

【○○】 現時点ではまだ1号炉の原因究明は完了していない。にもかかわらず、新聞報道を見ると秋には1号炉の運転再開をすると発表されている。3号炉はすでに運転再開されている。原因はあくまでも今は推定。3号炉を動かすということは、そもそも1号炉の事故から得られる教訓はないということを前提にしている。見逃している原因があれば、運転中の3号炉に同様の事故が起こる可能性がある。安全性ということをきちんと考えれば、こういう手順は踏めないはず。
《安田》 私どもとしては、3号炉については、事故が起こらない対策については適切に処置したと考えている。1号の点検については、別の問題として色々対策をしているが、1号で起こったような事故でのいわゆる水素滞留については、なされないという形で処理されている。
【○○】 今、「反映すべき点があれば反映する」と言った。つまりまだ完全に分かっていないということだ。端的に言って、完全に分かっていないという状態は、運転できる状態なのか、それとも運転してはいけない状態なのか?
《安田》 「・・・運転できる状態にさせていただいたので、運転させていただいたということです。」
【○○】 水素が凝縮するところが当該の場所だけであるかというのも、まだ分かっていない。そんなのは、止めた後、弁の直近の色々な所を調べられるはずなのに、それも多分調べていない。ドイツにしても1号炉にしても状況はまだ判らない。その状況で運転できると判断するのが中電の「安全論」なのか?
《安田》 先ほども言ったように、運転さしていただける状態にさせていただいたので、運転させていただいたということ。
【○○】 そういうのはトートロジー(同義反復)と言うのだ。
【○○】 問題は、当該配管が唯一原因を有する配管だとそちらは断定しているが、我々は、当該配管以外にも水素の濃縮の起こる場所があるのではないか、あるはずだと見ている。どのように調べて、ここは大丈夫、ここはあり得ないと、どういうプロセスで当該配管だけと判断したのか。中間報告には結果しか書いていない。
【○○】 原因については、時を待てば分かることと、どんなに待っても科学の合理的な推論の限界として分からないという場合と両方あるわけだが、今は待てばこれから情報は入ってくるという意味での分からない状態のはずだ。その状態で運転してよい状態と考えているのか。
《安田》 ですから、先ほども申し上げましたように・・・・
【○○】 もうけっこう。説明になっていない。そちらの「安全論」の姿勢は回答されなかった、ということで次に行く。

【○○】 1点だけ確認。新たに取り付けた隔離弁では水素を抜くようにしているのか。
《鈴木》それ(水素を抜く作業)はしていません。

■水素爆発の可能性がある配管の抽出方法

《川崎》 破断は、水素が何らかの原因で着火して配管に過大な内圧がかかったために破断したと推定している。現在このメカニズムの確認のために調査をやっており、ガスの蓄積試験、着火試験、燃焼に伴う圧力変化と配管破断変形度との解析、などを現在進めている段階。
 昨年11月20日に原子力安全保安院が、配管破断原因が特定されたわけではないが、いくつかの考慮すべき原因の一つとして、配管内の滞留物が今回の破断に関係した可能性が否定できないということから、1)速やかに蒸気凝縮系の配管内に存在する滞留物を安全に除去しうる方法を検討し実施する、2)原因が最終的に究明されるまでの間、高圧注入系もしくは原子炉隔離時冷却系の定期試験実施前には、1番の検討結果を踏まえて作業を行うこと、という指示が出た。
 それを受けて中電は、浜岡1,2,3号機が停止中であったため、滞留物の除去作業と同等の効果を有するものとして、分岐部に弁を設置するということを12/13に国に報告し、国もこれを妥当とした。
 当社を含む電力10社は、自主保安の観点から浜岡と同様の事象が生じうる可能性について検討した。原子炉冷却剤系及びこれに接続される系統において、高濃度の水素が滞留しうる箇所を1番から5番について抽出した。(12/13保安院の「中間とりまとめ」7頁の1〜5の条件と同じ)(*中電資料参照)
 (1番、2番の説明は省略)3番「具体的検討内容の、配管の強度設計が問題ないものを除外」というのは、例えば気体廃棄物処理系には、水素と酸素の再結合を行っている箇所があり、急速な再結合が起こっても問題ないように仕様を25倍程度の圧力上昇を考慮した設計としている。こうした具体的箇所については除外するという意味。
4番(省略)、5番の意味は、起動試験の時に起こったからである。こういう観点から探った結果、今回破断した余熱除去系蒸気凝縮系A系・B系のみが該当した。これは12/13国、安全委員会でも妥当と確認されている。
 今回の判断は、5つの基準でそれぞれ抽出したのではなく、1番で除外されればそれ以降には出てこないということ。例えば3番の「グランド蒸気調整器入口配管」はここまでは来ているが、4番については、この配管は水素を抜けるので溜まらないから大丈夫という判断。

【○○】 これは、1番の条件が一番緩い条件で、ここにすべてが網羅され、後の2,3,4,5に該当するものが1番で必ずかかるという前提がなかったら意味ない。結果的に5つ全部ひっかからないと選ばれないという条件だ。

【○○】 この5項目中でも1番2番は、濃縮のメカニズムに踏み込んでいる。5番目は着火原因を推定している。今色々調査しているのは、結局これを確認中ということになるわけだ。

《川崎》 中間報告を出すまでには相当現場や研究所で調べているので。

■水素濃縮の結果できた水はどこへ行った?

【○○】 濃縮原因の2番のところ。主蒸気から水素と酸素に凝縮していくというメカニズムでは、もともと主蒸気の中の水素、酸素の濃度はどの程度かという問題がある。仮にそれが数ppmというオーダーだとすると、それが数十%まで濃縮するには、余分な水蒸気が全部水にならなくてはならない。L字配管の先のバルブの手前だけでは、それだけの水素が濃縮した結果生じる水の容積には足らない。先の推定に妥当性があるかどうか疑問。
《川崎》 水素濃度はふつうは2ppm。
【○○】 50万分の1しかないのなら、他の水を除去しないと数十%の濃度にはなりえない。その水はどこへ行くのか。恐らく何トン、何十トンという水のはずだが。
《鈴木》 水については、高圧注水系のバルブの手前でもドレンが出るわけで、溜まったら常時ここから復水器の方に出している。
原子力安全委員会WG資料「第G-7-1号」の最終頁<弁設置位置概略図>参照冷えて水になったものについては常時抜いている。(図ではL字配管前の容積から溢れた水は、HPCIタービンへ向かう配管の途中のドレンへ抜けるように書いてある。)

■ 抽出条件についての疑問

【○○】 5項目すべてに当てはまるものしか抽出しないというやり方は、安全論的にはずれている。
 例えば(1番の条件「上り勾配で行き止まりとなっている配管」について、)1月の中電報告書「余熱除去系配管破断に伴う原子炉手動停止について(解析・試験計画)」
原子力安全委員会WG資料「第WG-5-4-2号」参照)では、凝縮部分と蒸気部分の間には、「温度成層(温度が急激に変化する境界領域)が形成される」と書いてある。つまり、配管の上方、下方といった条件以外に、「温度成層」という概念を中電自身が持ち出している。私もこの論にかなり賛成である。だから「上り勾配」という抽出方法は、論としてもおかしい。でなければ、この実験も「気体が軽い、重い」だけで考えればいいはず。

 また、2番の条件「母管から行き止まり部までの距離が長くて著しい温度の低下が起こりうる配管」についても、ドイツの場合は、かなり炉心に距離的にも近いところで起こっている。
 4番の条件「運転中に通常の操作手順で当該配管からガスを抜く操作が可能な配管を除外」については、どれだけの期間の定期だったらよいのか。爆発の最低限の条件をどう設定すればいいのか分からない段階なのに、「定期的に」という表現でどれだけ定量的に対処できるのか。できないはずだ。
 3番の条件「配管の強度設計が問題ない配管」については、「仕様が25倍の圧力に耐えられるので除外」と言ったが、実際の水素爆発が25倍の圧力にどうして収まると言えるのか、これは4番の「定期的にガスを抜く」所にも関係するが、濃縮の期間にもよるだろう。また、期間は同じでも溜まる水素量というのは、その配管の大きさにもよるだろう。色々なケースの一つ一つを断定して、具体的にここを除外できるというような定量化はしていない。
 定性的にも曖昧なところがある。そもそもこの5つに該当するものだけを挙げるということがおかしい。それが今回のドイツの事故でも明らかに実証されたのだ。

《川崎》・・ご意見としてうかがっておきます。

【○○】 5番の条件「接続されている母管側の流れが安定している配管を除く」だと、圧力変動・温度変化があたかも原因であるかのように書いてあるが、新聞報道では白金が見つかってそれが原因とか書いてある。これは新聞が勝手に書いたのか。

《川崎》 それは今解明中で、中部電力としてはまだそういうプレス発表はしていない。

【○○】 先ほどの温度成層に関係するが、余熱除去系蒸気凝縮系B系が爆発した後、A系のおなじ箇所の気体が空気の組成と同じになっている。重い空気(窒素や酸素)が置き換わったわけだ。このことは国も気にしているようで、安全委員会WGで出された意見の議事録(資料第WG-4-2号)の中に、「A系でも水素の燃焼が起こったと考えれば、空気と置換する理由は説明できよう」と言っている人がいた。正式見解ではなく色々出された意見の一つだが。これについては、私は意見を留保する。もし燃焼があったのなら、燃焼の証拠が単に水になるということ以外にも何かあるはず。だが、A系の相当箇所が空気の組成になっていることは、国でも理由付けに困っている。

《川崎》 安全委員会の質問事項として承知している。A系は破断したB系と配管が繋がっていて、破断後約1月後にサンプリング調査したから。

【○○】 では何故、置換できるのか?A系、B系の立体的な配置図で見れば、当該場所は高いところにあって、重い空気が高いところにある水素をおしのけている。おかしいのではないか。上り勾配と選定した基準が、この事実によって反論されていると読めなかったか。
《川崎》 一月経過した後に測ったものだから。

【○○】 わざと吸い出したわけではないはず。
【○○】 A系で燃焼が起こったかどうかは調べれば分かること。熱が発生していれば痕跡が残る。調べないのか。
【○○】 国でも、置き換わったことについて、無理な想定をしなければならないので、A系でも燃焼したのではないかと言っている。
【○○】 爆発で圧力変動があって、バックラッシュのような影響があったのかも?
【○○】 それは違うと思う。爆発の瞬間の早さというのは、曲がっていたら先までは行かないもの。例えば、圧力容器の中の構造物に何か変化があったかどうか前回質問したが、健全だったという回答だった。
 塹壕を掘る場合、まっすぐには掘らず、必ずゆがめて掘る。どこかで爆弾が落ちても、曲がった所で爆風が止まるようにしている。長波と短波の考え方と同じで、ゆっくり進めば曲がっていくが、瞬間的なものすごく早い速度なら、曲がった所は密閉しているのと同じ効果で次のところに進まない。その理屈でA系の気体が置き換わったというのは成り立たない。
《鈴木》 一般的に言えば、長い時間たっているので、ずっと気体がそこにとどまっているわけではない。
【○○】 なぜそれなら1月も放置しているのか。他の数字というのは、みな意味のないものなのか。そういうことが仮にあったとしても、これほどドラスチックなパーセンテージの変化というは説明できないはず。まさに4:1の組成になっている。(混ざったのではなく、置換した)。従って、この配管の選定基準は問題だ。

【○○】 着火原因とか実験の内容は?
《川崎》 今やっている最中なので、公表する段階にない。
【○○】 5番は、圧力変動、温度変化が着火原因である可能性があるということだが、そうした実例はあるのか。
《川崎》 国内?国外?どうなんですかね。こんな事故はまずないから。
【○○】 別に原発でなくともいいが。
高圧注入系のバルブをあけると急に減圧になるが、そういうことが原因で着火することがあるという研究なり実験なり実例なりあると言うのならわかるが、この場所がこういう条件だったから「原因がこれだ」と断定するのは、結果を原因にすり替えるものだ。
 水素と酸素があれば、ショックがなくても500度になれば自然発火する。色々条件があれば、その温度が低下することもあるかもしれない、それら条件が実際に再現されているのかどうか。
《川崎》 その辺をふくめて試験・解析をやっていると思う。
【○○】 普通ならそういう理屈だが、国にしろ電力にしろ、確定するまではいかにももっともらしく、原因調査で確定しますと言いながら、いったん原因調査で確定したら、その説明がないというのを何度も経験している。
 全ての可能性を挙げるのはいいが、これを危険個所の選定の確固たる基準にして5項目全部あてはまるものしか抽出しないというのが大問題だ。

■ 新しいバルブからも蒸気が漏れる

【○○】 新しく取り付けたバルブと、上のL字配管の先のバルブとは同じものか。
《川崎》 これは仕切弁だから、機能的には一緒。
《鈴木》 実際には向こうには駆動系がついているが、手動とモータ駆動というところでは違う。
【○○】 品位、グレードは同じか、違うか?
《川崎》 グレード的にはいっしょだと思う。
【○○】 そうすると、新しい弁からも蒸気は漏れてしまうわけだ。

■ ドイツのブルンスビュッテル原発の事故

【○○】 中電独自に調査はしていないのか?
《鈴木》 まだしておりません。
《川崎》 <原子力安全委員会の資料(*第18回定例会議資料)を配り)それしか今分かっていない。

【○○】 浜岡ではドレンが主蒸気配管とつながっていないというのは、弁で仕切られているという意味か?
《鈴木》 配管そのものがないということ。

(安全委員会の図の説明。ドレンと弁の位置を確認)破断した場所はここ(頂部から下って、ドレンが付いた段より一段高くなっている部分)。

【○○】 弁のすぐ手前というわけではないね。
《鈴木》 どうもそのようだ。

《鈴木》 (日本の場合の図の説明)国内の各種の例で、圧力容器の頂部にはスプレイ配管が一応設けられている。駆動設計によって色々種類がある、浜岡の場合は、ヘッドスプレイは供給系統をRHR(余熱除去)系のところから持ってきて、隔離弁があって、逆止弁があって、圧力容器に入る。ここ(逆止弁)で蒸気と水で仕切られている。ドイツの場合、ここ(格納容器の中)にドレンがあって、主蒸気のドレンとつながっていたのではないかと言われている。

【○○】 既に向こうは水素爆発と言っているが、その水素を含む水蒸気成分が来たのはどういうルートと考えるか。
《鈴木》 まだわかっておらず調査中。こちらから(ドレン側)から来たのではないかと。
【○○】 こちらは2通り考えているが、ドレンから来たのでないなら、日本の場合に可能性がないということは安全委員会も言えない。
浜岡の場合のドレンはこの図。(
設置許可申請書 図6.4-1図(「余熱除去系停止時冷却系」)(←安全委員会WG資料「第WG-5-5号:設置許可申請書抜粋」にも後ろの方に載っている)
 逆止弁というのは、通常の弁よりは漏れの度合いが少ないのか。
《川崎》 わからない。

【○○】 ドイツの場合、爆発してもドレン弁を閉じることで運転を継続できたと書いてある。ということは、この弁は頂部の弁を閉じている時は、開けて結露した水をドレンに下げているはずだから、そこを閉めたことで運転を継続できたという意味がどうも分からない。ヘッドスプレイの方の弁は閉まっていたのだから、別にドレン弁を締めなくても問題はないはず。
《鈴木》 下からも来るから。
【○○】 だから、あえてそこを閉めて運転を継続できるということの意味は何か?
《川崎》 情報が少ないから何とも答えられない。
【○○】 それなら尚更3号炉は止めるべき。
 しかも、圧力容器上部の蓋のあたりは、非常に温度が熱いはず。だから蒸気が本当はどこから来たのか。逆止弁を締めていても蒸気がすこしずつ漏れて濃縮したというのも考えられる。そうなると弁が弁として信用できないということになって大変なことになる。
《斉藤》 ここにはドレン配管上の隔離弁を閉止することで漏洩は停止したと書いてある。(4分間に260リットル、68ガロンの水蒸気)

【○○】 主蒸気配管のドレン弁は通常運転中は、閉まっているはず。開けていたら大変。こっち(炉心スプレイ系のドレン)は、通常使っていないから開けていても大丈夫だが。
 漏洩が止まるというのは、吹き上げてくるものなどがあるから止まる。出てくるものは、水か蒸気か。
《鈴木》 蒸気。
【○○】 それはどこから来ているのか。主蒸気配管のドレンは閉まっているはずだ。ドレンの水は(主蒸気配管の方も)重力で落としているはずなので、そこのオフガス的なものも先ほどの水素と空気の置き換わりと同じ理屈で、いったん下がってから上がってきたことになる。しかも、例えば流し台の所の排水管等は下水からの臭いが上がってこないように途中で水を溜めるようにS字型になっているので、この主蒸気ドレンと繋がっているドレンでそれをしていないとは考えにくい。水素や酸素はそこでカットされて上がって来なくしているのでは。そうすると蒸気が来た元は上からしかなく、非常に圧力容器から近いところでも水素が濃縮したということになる。(上り勾配で行き止まりでもない。)
《鈴木》 調査が終わらないと何ともいえない。
浜岡の場合とは系統構成が違うから。
【○○】 構造は違っていても、水素の濃縮、爆発のメカニズムに、先ほどの5つの条件と違う条件が出てくれば、もう一度1号炉の事故についても見直さざるをえなくなる。
【○○】 構造の違いが、どのように原因を除外する働きに繋がるのかが分からなければ、話にならない。あなた達は、ドイツで、ドレンの弁を閉じたことで運転を継続できたということの意味すら真面目に考えていないではないか。

■ 3号炉運転再開の地元同意について

《川崎》圧力容器を貫通する制御棒駆動機構とスタブチューブと溶接部分で漏洩があったことをバブルテスト装置などを用いて場所を特定した。部位の水中カメラによる目視検査、超音波探傷試験を行って確認。(説明省略)これらのことから応力腐食割れの特徴を有していることが分かった。
 原因究明のために応力腐食割れを起こした環境条件、発生応力の確認のために原子炉水の水質調査モックアップ試験、応力解析を現在進めている。CRDハウジングについては、89本の他の所についても水中カメラで確認した。現在のところ異常は見つかっていない。
 今回、水漏れの発見がおくれたという事実を踏まえ、圧力容器下部に露点温度測定点を設け、改善した手法を用いて漏洩監視を強化している。
 3号炉の定検中には、通常の70気圧の1.1倍で制御棒駆動など貫通部分を含め耐圧試験行って漏洩がないことを確認した。
 静岡県から「浜岡原発事故に係る安全確保について」という要請があり、3,4号機の点検を行って、1/31には結果を報告している。(中略)
 11/7以降、事故現場の公開や調査状況の公表、改善点など地元への説明を行った。中間報告の後も地元浜岡町含め周辺5町、県、議会全員協議会、町内会の皆さんに状況説明し内容を報告している。12/26には浜岡周辺5町の代表の集まる「5町対協」という「浜岡原子力発電安全等対策協議会」の場においても3号機について説明した。ここ(資料17頁)にもあるが、静岡県下には新聞折り込みなどを5回入れた。
 こうしたことをして、3号炉運転再開に対する地元の不安の声は無かった。地元から特段の意見は聞いていない。1号炉の運転については地元に説明してほしいというぐらいだった。

■ 原子炉圧力容器からの漏洩

【○○】中間報告では7月頃から漏れていたらしいということだが、前回の点検が行われたのは何時か。。
《川崎》定検が終わって立ち上げる時に、原子炉圧力を上げていく時に試験をする。この時には異常はなかった。
【○○】それは何ヶ月前か。
《川崎》営業運転を再開した時。(3月)
【○○】定期点検では問題なかったけれど、半年とか1年の間にこういうことが起こるといことは、原因によっては、定検では対応できないことを意味している。今回は80リットル/日だったが、もっと傷口が大きい場合もありうる。例えば老朽化と関係があるのかとか、原因をきちんと調べないと。前のインコアモニタハウジングの時には入熱量が多かったと言ったが、こんなことでは通らない。原因によっては定検で対応できない場合もある。

【○○】 漏れていた量は1時間に60CCと書かれていたが、テレビの映像を見てそんなはずないと思い、自分でやや厳しく3回測ってみたら、10分間で70CC程度だった。だから1時間で420CCぐらいのはず。(気付かなかったことを正当化するために、漏洩量を少なく公表している可能性を指摘。)
《川崎》 私どもは1時間60CCとだけしか言えない。60CCというのは、滴で落ちたものについてだけで言っている。測ったことは確か。

《鈴木》 今日の質問の1点目「点検ではCRDのみではなく、インコアモニタハウジングの溶接部、及び近傍も行うべきではないか」については、実際今回念のためスタブチューブの上下の溶接部とインコアモニタハウジングの溶接部についても点検した。異常は認められなかった。
【○○】 異常というのは、「漏れ」なのか「確認できる限りのクラック」なのか。
《鈴木》 目視検査なのでひび割れがなかったということ。

 2点目、「目視点検では不十分ではないか。浸透探傷試験の必要があると考えるがどうか。報告書では0.025mm幅のワイヤの識別ができる水中カメラを用いるとあるが、この0.025mmの限界識別能力がそのまま該当部目視の能力と同じであると言えるのか」という指摘について。
 今回亀裂は応力腐食割れの特徴を示しており、亀裂は外表面から進捗していったと考えられるので、表面に亀裂がなければ同様の事象が発生のしないことを確認できるのではないかと考えた。カメラは、国の定めに応じて0.025mmのワイヤが識別できることを確認している。我々としてはこれでできると考える。

【○○】 0.025mmというのは25ミクロン。これは白い紙の上で0.025mmの黒い糸が見えるという一番いい条件での限界識別能力。では、当該部ではどうか。この中電の報告書(=「制御駆動機構ハウジング部からの漏洩について(金属調査・その他のスタブチューブ下部溶接部点検報告」(H14/2 中部電力))にはグラインダをかけた時の擦り傷のことが書いてある。そうした条件でも識別できるのか。

 さらに、今回の傷というのは、全部貫通した傷の入口表面の一番大きな部分で40ミクロン。目視点検の限界能力は非常にいい条件で25ミクロンなので、他の貫通していない部分の初期のひび割れがグラインダの傷や水中で見えるのかどうか。(安全委員会第12回臨時会議資料第3号 参照
 もし、浸透探傷試験をやっていたら傷が見つかって、漏れる前に対処ができたかもしれない。
他にも貫通してはいないけれども、あちこちに小さなひび割れがたくさんあることも分かって、廃炉にする時の判断にもなるはずだ。中電は、あえてこうしたことを見ずに、ひび割れがあっても貫通していなければ運転しようということを考えた調査方法しかしていない。見ようと思えば見れるのに。
《鈴木》 確かにグラインダの傷なのか亀裂なのかを入念に識別して点検しているために時間がかかっている。1日に数本しかできない。
【○○】 見えないけれども、傷があるという状態があり、それが広がっていってある時期見えたり漏れる。もっと観察の精度を上げたり、色々解析して見えない傷の進行速度を調べ、定期的なチェックを検討する等、予防の方法はあるはず。見えないから大丈夫と言われても、次も漏れて初めて分かったということになりかねない。88年のインコアモニタハウジングの時にさんざん言ったではないか。こんなことをやっていてはまた起こるよ、と。応力腐食割れは自然現象だから仕方がないと言っても通らない。溶接そのものに問題があったのか、老朽化に伴うことなのかをちゃんと解明してもらわないと。溶接が原因ということになれば、ここは曲面なので、溶接の無理の可能性もあるだろう。

《鈴木》 3の質問「破面が酸化皮膜に覆われていたとあるが、これを手がかりに破面進展の履歴が推定できないのか。これができれば各種参考情報となる。」について。
 酸化皮膜の状況から破面進展の推定、腐食速度の推定は今はできない状況。酸化皮膜の形成には非常に時間がかかるので、一般的にはこれに覆われている部分は新しいものではないことは分かる。
【○○】今回のものは酸化皮膜がついていたので、かなり古い傷だった。しかし、それでも分からなかったわけだ。そういう検査方法しかしていない。
《川崎》88年事故後の検査は、漏洩がなかったということだけ。傷があるかないかは見ていない。インコアモニタハウジングの時は、CRDハウジングの当該部分は肉厚が厚いから多分問題ないだろうという判断を当時はしていた。
【○○】こういう事故があったのだから、小さなひび割れも見逃すべきではない。いつも完璧な最大限の技術を使えるとは限らないだろうが、今回調べて小さな傷が何個あったとなれば、次にどうするかという話になる。あなた等は見えるものも見ようとしないのだ。
《鈴木》 ・・そんなことはないと思いますけどね。

《田中》 お時間も参りましたので終了させていただきます。
【○○】ひとつだけ。新聞報道によると、2号機を夏前とか、1号機を9月にという社長発表がされているが、これは本当か。
《川崎》記者発表では確かに言っている。ただ、色々な前提をつけて言っている。2号機については耐圧、耐震チェックをして1号炉の事故をふまえて、地元の理解が得られれば運転再開したいということ。
【○○】それだと、夏前とか何時だとかは言えないはず。
《川崎》できれば夏頃にはという発言はしているが。
【○○】それは「心の準備をしていただく」ための世論操作だ。ずるい。
《川崎》地元のご理解は絶対不可欠です。
【○○】今言った耐圧試験なんて、通常の運転再開の時だってやることではないか。それで、こういうような薄目で見た検査をやって再開するのか。
《中電》耐震と言った・・。
【○○】耐圧、耐震と言ったでしょ。

【○○】中間とりまとめなどを国に上げるときに、実際執筆している部署はどこか。例えばドイツの事故が起きたような時に、それをちゃんと独自に調査できるような体制になっているのか。
《川崎》書いているのは中部電力全体。誰が書いたかなんて、答えられない。
《鈴木》本店とサイトの方の共同で、原子力部門。
【○○】今回のことで、中電は事故のワーキングチームを作らなかったのは明らかにおかしい。今回の事故を軽視しているのは了見違いだ。片手間にやるのとフルタイムで24h専属で時間を与えられてやるのとは違う。
《中電》・・・・。

以 上

(中部電力資料)
011213中電

原子力安全委員会 原子力事故・故障調査専門部会ワーキンググループ第7回会合資料WG-7-1「中部電力(株)浜岡原子力発電所1号機配管破断事故に関する質問事項への回答」(H14/3/4原子力安全・保安院)(添付資料4.2)
「隔離されたHPCI系及びRHR系の蒸気配管内の蒸気は、自然放熱により冷やされ、凝縮した水は主復水器に自動排出される。」

原子力安全委員会 原子力事故・故障調査専門部会ワーキンググループ 資料第WG-5-4-2号「浜岡原子力発電所1号機余熱除去系配管破断に伴う原子炉の手動停止について(解析・試験計画)(H14/1中部電力)1頁

原子力安全委員会第18回定例会議資料 (3-2)「独国・ブルンスビュッテル原子力発電所における配管破断事故について」の添付資料のひとつに加筆 

ブルンスビュッテル
余熱除去系停止時冷却系設置許可申請書 図6.4-1図(「余熱除去系停止時冷却系」

原子力安全委員会 第12回定例会議 資料第3号「制御駆動機構ハウジング部からの漏洩について(金属調査・その他のスタブチューブ下部溶接部点検報告」(H14/2 中部電力)(添付資料2.2-6)より

12回安全委員会(3)2.2-6


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