2002年12月20日の2号炉運転再開に対する

19日の「申し入れ書」 と 20日の「抗議文」

申し入れ

中部電力株式
 社長 川口 文夫 殿

きのこの会
(連絡先)名古屋市昭和区花見通1─59
川名文庫 内
TEL&FAX 052-761-5950

 報道によれば、御社は明日2002年12月20日、浜岡原子力発電所発電所2号炉の運転を再開すべく、調整運転に入るとのことである。

 同2号炉は、去年11月7日に発生した同1号炉の水素爆発事故のあと、検査のため1週間後の11月14日急遽停止され、今年5月24日に運転再開されたところ、約12時間後の25日、低圧注入管第2隔離弁ドレン配管の溶接部36,000cm3/時の水漏れを発見し、停止していた。

 1号炉爆裂事故の原因調査、安全対策のための最終報告書(2002年4月24日提出)の内容について、私たちはその誤り、あいまい、不十分さをすでに何度も指摘してきたところである。
 折しも去る8月29日に公表された東京電力の事故隠し、データねつ造、検査不正等に端を発し、御社でも原発各基で重大なひび割れを既に発見していた事実、そして新たに発見する事態を出来している。
 御社がかねてより表明し、また「平成14年(ヨ)第94号、浜岡原子力発電所発電所運転差止仮処分事件」でなされた御社今年7月12日付答弁書でも主張する“原発は常に新品同様”とする内容から考えて、嘘をついていたことになる。
 ここに、私たちは以下の理由によって、2号炉の運転を再開しないよう申し入れる。

1. 1号炉で発生した水素爆裂事故について、2002年4月24日国に提出された最終報告書は多くの誤りや不十分さがある。
その結果の安全対策は、従って妥当性を欠き、安全対策になっていない。特に水素の蓄積場所の特定方法の誤りは重大であり、着火原因の推定も科学的、合理的でなく妥当でない。

2. 東京電力の事件以降、御社の原発全基に関する過去の調査の結果開示は不十分であり、ひび割れを新品同様と高言し、ひび割れについての科学的評価をしないまま運転を継続してきた等の安全上問題、評価体制の問題、責任の明確化(あるいはどこにも責任がないという無責任体制の明確化と改善)等、何ひとつ解決されていない。

3. 1号炉事故のあと、周辺32町市(静岡の市民グループの調査 2002年10月20日現在)の自治体議会が、浜岡原発の廃炉や休炉、原因の徹底究明を求めた意見書や決議を行っている。御社は、これに応えないばかりか、説明責任を果たしてもいない。
(1号炉事故の問題点は、同型同タイプの2号炉の問題でもあり、上述理由1が正当なものと考える。)

 加えて、1号炉事故、その最終報告書の問題点についての公開討論会を求める。

以上

 2002年12月19日

抗 議 文

2002年12月20日

中部電力株式会社
 代表取締役社長 川口 文夫 殿

きのこの会
(連絡先)名古屋市昭和区花見通1─59
川名文庫 内
TEL&FAX 052-○○○-○○○○(安楽)

 御社は、本日2002年12月20日、浜岡原子力発電所2号機の運転再開のため調整運転をはじめるという。また、新聞報道によれば、4号炉についても、シュラウドのひび割れを補修することなく、運転再開の準備に入ったことを公にしている。

 私たちはかねてより、昨年11月に1号炉で起きた水素爆発事故や、制御棒駆動機構溶接部からの水漏れ事故で新たに明らかになった浜岡原発の危険性について指摘してきた。
 水素爆発事故については、4月24日提出した最終報告書の中でも、明らかに矛盾する記述や再現実験の不備と失敗、水素の蓄積箇所の特定方法の間違いがある。1年前にドイツのブルンスビュッテル原発で起きた水素爆発事故も、それを裏付けている。
 従って、御社が施した再発防止対策は不十分であり、同様の事故が再び1〜4号機すべての原発でも起きうる可能性を否定できない。
 特に、御社の最終報告書でも、水素爆発に白金が影響した可能性について言及しているにもかかわらず、1号機と同様に老朽化対策として白金を注入している2号機を、真っ先に運転再開したことは到底理解しがたい行為である。

 1号機で起きた制御棒駆動機構溶接部の水漏れ事故についても、応力腐食割れを防ぐ目的で炉水に白金を注入していたにもかかわらず、その応力腐食割れを起こしており、しかもその溶接部の溶接条件に特異な点はなかったことは、御社も報告書で認めている。従って、2号機についても、白金を入れて炉水の環境改善をしなければならなかったという事実、そしてそれによって1号機では完全にひび割れを防止することができなかった(再循環系配管でもヒビ割れが存在。これは停止点検を1年やっていたにもかかわらず新たに出てきたもの)という事実、また、2号機より新しい3,4号機で炉内構造物や再循環系配管にひび割れが見つかっているという事実から、2号機は運転再開の前に徹底的な点検をしなければならないはずであった。

 しかしながら、御社は例えばシュラウドについては、僅か3箇所のリング部の溶接線だけしか調べていなかった。東京電力が、シュラウドのすべての溶接線について点検しようとしていることから比べても、極めて怠慢である。
 また、東電の不正発覚を受けて保安院が各電力会社に指示した過去の自主点検の調査も、まだ過去3年分のみが報告されただけで、過去10年分については報告もされていない。数年から数十年に1度しか点検しない箇所もある中で、3年分のチェックだけで10年分についても不正がないと予断し、すべての箇所に不正がなく健全であると言い切る根拠はどこにあるのであろうか。
 このような状態での運転再開は、安全第一とはほど遠く、浜岡町などの住民や周辺自治体議会、市民の意識とは全く乖離していると言わざるをえない。

 ましてや、4号炉のシュラウドのヒビ割れを補修も交換もせずに運転再開をしようというのであれば、それまで、“すべての部品は新品同様である”としてきた御社のこれまでの説明は、虚偽だったと断ずる他ないだろう。
 また、もし、補修する必要がないという立場をとるならば、一方的な運転再開発表より以前に、その安全性についての科学的根拠を市民に明らかにし、あらゆる批判的検討を経ることが必須である。少なくとも、ヒビの深さも進展速度も予測を裏切る実例が既に多数存在することや、非破壊検査による測定精度には限界があることが、専門家からも指摘されている。こうした疑義を抱く市民、住民との議論を避け、正々堂々と向き合うことなく運転再開を強行することは許されない。

 私たちは、9月21日から3ヶ月間、浜岡原発の全機停止によって、安堵の日々を送っていた。原発の全機停止が中電管内で停電を招いたという事態は一切なかった。

 しかも、冬場のピークについても、岡本巌資源エネルギー庁長官が11月8日の衆議院の環境委員会で答弁したように、“中部電力については原発の比率が約2割であるため、冬場の需給については今のところ支障はない“のである。御社が安全性を犠牲にして性急に原発の運転を再開する必要性は何ひとつない。

 原発停止によって発生したという御社の負担増とは、火力発電所の燃料調達費用については、原子燃料を使用しなかったことから相殺されるだけであり、補修点検や修理費用による出超については、御社があえて原子力発電を選択していること自体が招いた負担や損失でしかない。御社は、そこからも原子力への依存を反省し、教訓を得なければならないだろう。

 私たちは、多くの市民、住民が危惧する中で、浜岡原発2号機の運転再開を強行した御社に抗議する。
 そして、直ちに2号機をはじめ4,1,3号機についても運転再開計画を取りやめるよう要求する。

以 上