高レベル放射性廃棄物の処分単価は、1kWhあたり14銭のはずがない!

 総合エネルギー調査会・原子力部会が出した
 
処分単価の算出過程には致命的な欠陥がある:


 総合エネルギー調査会・原子力部会はH11年3月23日、中間報告「−高レベル放射性廃棄物処分事業の制度化のあり方−」をまとめました。それにより、高レベル放射性廃棄物の処分費用は1kWh当たり14銭程度と新聞などでも報道され、また、先の国会の「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法案」審議においても、細田通産政務次官がそう答弁しています。

しかし、この数字を導き出した計算方法には明らかな欠陥があります。将来費用の予測の不確定さ以前の問題として、最初から明らかに間違った計算を採用しているとは一体どういうことなのでしょうか?


 上記のH11年3月の中間報告15ページ「(3)試算結果」の項には、
代表的11ケースについての試算結果は、前頁下表のとおりである。試算値は、約2.7〜3.1兆円の範囲にある・・・」

 とあり、それを受けて「(4)処分単価の試算」の項には、

 今回の試算結果から、原子力発電電力量1kWhあたりの処分費用が試算できる。試算にあたっては、処分事業が長期にわたるもので、費用は将来に発生するものであることから、適切な割引率を用いて、将来の価値を現在価値に割り引くことが適切である。割引率を0〜4%の範囲で変えて処分単価の試算を行った結果は以下のとおりである。


       
割引率を考慮しない場合: 26〜30銭/kWh
       割引率 2% の場合 : 12〜14銭/kWh
       割引率 3% の場合 : 9〜11銭/kWh
       割引率 4% の場合 : 7〜9銭/kWh
      

 と書かれています。

<少し考えてみましょう>
 割引率0の場合の26〜30銭と比較して、割引率2%の処分単価がその半額以下の12〜14銭という数字になるには、
少なくとも36年以上元本を運用するという前提がなくてはなりません。
 2%なので、1.02の36年複利でやっと約2倍になります。

 また、割引率4%の場合についても、割引率0の時の3分の1以下の7〜9銭という結果を生むには、少なくとも32年以上元本を運用しなければならないはずです。
 4%なので、1.04の32年複利でやっと3倍。


 ところが、実際の処分費用は、毎年積み立てられていくものなので、費用の徴収を開始した年に
元本となる金額が全部一度に資金管理主体に集まるわけではありません。初年度に1兆数千億円の元手があるならば、確かに金利2%で36年後に約3兆円になる価値があり、この計算は成り立ちますが、実際は最初の1年間に集まる金額は、約400〜500億円程度でしかないのです。原発の年間総発電量3千〜3千500億kWhで、kWhあたり14銭とした場合)
 しかも、毎年数百億円ずつ積み立てられた資金は、そのまま手つかずのまま運用されるわけではなく、
処分場建設時までには、調査・研究、人件費など様々な形で支出され消えていくので、長期の複利がつく部分は、さらに少なくなっているはずです。

 従って、割引率を採用するならもっと計算は複雑になります。いきなり約3兆円の割引率何%で幾ら幾ら、などと計算してもまったく意味がありません。これは単純な不注意です。こうした原理的な欠陥をもった計算が、全くノーチェックで採用されているとしたら、あまりにもズサンです。(*)

 しかしもし、将来処分費用が足りなくなることを知りながら、意図的に処分単価を低く見せかけるためにこうした計算を採り入れ、14銭という金額を宣伝しているとすれば、それはもはや国民と将来世代への犯罪です。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆

そもそも、総費用2.7〜3.1兆円という数字自体が信用できないという問題もあります。この処分費用をはじきだすときに使ったデータも、きちんとすべてが公表されているとは言えません。中間報告では、11のケースについて計算したと書いてありますが、安全基準も整わない内にどうやって費用を計算したのか疑問です。

また、原子力発電事業者の発意による認可法人なのに、なぜ先に国が人件費なども含めた法人の事業費の算出できるのでしょうか。

さらに、こうした施設の建設費というものは、将来膨張して何倍にもなってしまった例がいくつもあります。本当に3兆円程度で足りるのかどうか。もし、建設費が膨らんでも当時の受益者に遡って費用を負担させることは不可能ですから、将来世代にしわ寄せされる可能性は非常に大きいと言わざるをえません。

(*99年に名古屋で行われた中間報告案についての説明会で、原子力部会長の近藤駿介氏は、参加者が指摘したこの計算の欠陥の意味を最後まで理解できなかった。)


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