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本訴訟最終弁論の傍聴報告 (2007.6.15)
 


最終弁論の傍聴報告

仮処分申請から約5年にわたり、「東海地震の前に浜岡原発をとめたい」という願いを託した裁判も6月15日、遂に結審を迎えました。静岡地裁西口には最後の裁判を傍聴しようと107名もの人々が早々と整列し、正面玄関にはマスコミが待ち構えました。

 

 結審にあたり、5年間の集大成となる分厚い最終準備書面が原告被告双方から提出されました。原告側最終準備書面は433ページにも及ぶもので、原発内部の現場検証の際のカラー写真も掲載された貴重な資料といえるものです。限られた時間の中で協議を重ねて作成されたものであり、弁護団、証人をはじめ、協力者の方々の熱意の結晶です。

 

 11:00より、最後の口頭弁論が開かれましたが、冒頭被告側弁護士から、最終準備書面とともに提出された意見陳述書について抗議の声が上がりました。「最終準備書面の後には主張をしない約束になっている。意見陳述書は最終準備書面の再反論ではないか」と。これに対して、海渡、河合弁護士が反論した後、裁判長が「合議します」と宣言し、別室で3人の裁判官の合議が行われましたが、まもなく、「意見陳述書は参考資料として受け取ります」と述べて再開しました。ところが、ここへ来て、原告被告双方の陳述時間が予定より5分短縮され、わずか25分に変更されてしまいました。

 

先に原告側の陳述が始まり、最終準備書面に沿って5人の弁護士さんが担当パート毎にリレーしていきました。栗山弁護士が「想定を超える地震が発生する可能性」、青木弁護士が「安全性を確保できない耐震設計」、只野弁護士が「安全性を低下させる老朽化」、海渡弁護士が「想定を超える地震の際の安全性は確保されない」について陳述しました。河合弁護士は結論として、「原発震災を未然に防ぐためには運転を差し止めるしかない」として「原発震災の惨禍から救えるのはこの静岡地方裁判所のこの合議部しかない。国民に安心を与えてほしい。勇気ある正義の判決を心から切望する」と裁判官に強く迫りました。

原告団からは代表として白鳥さんが原告の積もる想いを裁判官に訴えました。「毎年の度重なる事故が大地震と重なったらどうなるのか、という不安が地元に暮らす住民の間で広がっているにもかかわらず、電力会社や国へ訴えても一向に埒が明かなかった」「不正を重ねる電力会社には道徳性がなく、原発の運転資格がない」と。「勇気ある判決を心からお願いします」としめくくり、原告の声を代弁した気迫あふれる陳述にひとつひとつ納得し、一同感動しました。原告側の陳述は6人の連携で臨機応変に対応し、見事に時間通りに滞りなく終了しました。

 

 11:40より、被告側の中心弁護士が原告側とは対照的に、数人の弁護士が関係なさそうに居眠りする中、ひとりで淡々とメモを読み上げる形で陳述が行われました。「国の厳しい安全規制の下に設計・建設している」「放射性物質の多量放出を防止する能力を備えている」「十分余裕をもった耐震設計をしている」「M9以上の地震の蓋然性はないが、想定したとしても、大きな揺れに襲われることはない」「亀裂のあるなしは耐震性に影響ない」などとこれまで通りの主張を展開し、「原告は雑多なトラブル事象を列記し、単なる危惧の念をもって運転差し止めを求めている。抽象的な危険性の根拠すらない。請求は棄却されるべき」といわれのない原告への中傷でしめくくりました。

 

 裁判長は仮処分裁判も併せての判決期日を10月26日(金)11:00と明言し、仮処分裁判の口頭弁論の期日を協議の上、7月19日(木)15:30と決定し、最終弁論は終了しました。

 

 これまでの裁判を通し、明らかになったのは具体的に立証された「浜岡原発の危険性」であり、「中部電力の体質」だったと思います。放射性物質が多量に放出しなければ問題ないと考え、不正を重ねる中部電力には危機意識が乏しく、原発運転の資格があるとは思えません。原発への不安感や中部電力への不信感が高まることはあっても決して解消されることはありませんでした。「東海地震の前に原発をとめたい」という想いはこの5年で原告の間でさらに強まったのではないでしょうか。

 

おわりに、原発の危険性を科学的に具体性を持って立証することで、原告ひとりひとりが抱いている漠然とした不安を見える形に表し、裁判の場で中部電力と闘っていただいた弁護団、証人の方々、そして、協力いただいた方々、傍聴いただいた方々に感謝したい気持ちでいっぱいです。途中で交代した宮岡裁判長は、常に公平で民主的な裁判を主導し、アラームが鳴ったために中途で終えることになった原発内部の現場検証にも弁護団とともに体験されています。原告側の想いが裁判官たちに伝わったものと信じて判決を待ちたいと思います。加えて、裁判に懸ける想い、チームワークの良さについても原告側弁護団は被告側よりもはるかに勝っていたことを強調しておきたいと思います。

 


 

*今後の予定

・    7月19日(木) 15:30〜 仮処分裁判の口頭弁論

・    10月26日(金) 11:00 判決 (原子力の日)                     

    (報告:杉山)

 

 
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