2009年2月24日

訴訟審理方針についての浜岡原発差止訴訟弁護団コメント

浜岡原発差止訴訟弁護団

1 裁判長が早期結審を示唆

 東京高裁民事第11部の富越和厚裁判長は、2009年2月20日、 浜岡原発運転差止訴訟の控訴審第3回弁論において、「本件は判決に熟していると考えている。」と発言し、今後の訴訟審理において早期の結審を示唆した。


 控訴人ら弁護団は、この発言については、訴訟の争点とその現段階についての正確な事実認識に基づくものとは到底いえないものと考え、強くその再考を求めるものである。


2 中越沖地震の発生と御前崎海脚東部断層帯の同時活動の知見は
  一審 の結審後である


 本件浜岡原発訴訟は、2007年6月15日結審したが、結審後判決前の7月16日に、新潟県中越沖地震が発生した。同地震により、東京 電力柏崎・刈羽原発1号機〜7号機は、設計時に想定していた基準地震動を遙かに超える強烈な地震に襲われ、同原発は、現在に至るまで運転を再開していない。同地震は、これまでの原発の耐震安全性についての考え方を根底から覆したのであり、各電力会社は、原発敷地の地下構造の調査を行っている。中部電力の浜岡原発についての地下構造調査結果は、未だ発表されていない。

 さらに、浜岡原発周辺においては、プレート境界地震である東海地震と同時に御前崎海脚東部断層帯が活動することによる地殻変動量の大きい地震が発生することが懸念されている。同断層の同時活動がおおむね1000年に1回活動してきたのではないかとの報告が産総研によってなされている。これも、原審の審理集結後に、新たに発表された知見である。


3 3,4号機について免震補強が必要でない理由も解明されるべき

 また、中部電力は昨年末には1,2号機の廃炉を決めた。これは裁判所の和解打診の動きが大きな影響を与えていると考えられる。1,2号機について運転再開のために必要不可欠とされた工事費用3000億円ともされる免震構造による補強対策が3,4号機については本当に不必要なのかを技術的に明らかにする必要がある。このような意味において、1,2号機の廃炉決定は3,4号炉についての今後の裁判所の審理・判断にも決定的に重大な影響を及ぼすものである。

4 早期結審の方針は撤回するべき

 3、4号機については、裁判所としては、バックチェック作業の帰趨を見極め、これに対する控訴人らの主張立証の機会を十分に保障した上で、結審判断されるべきであると考える。

 このように、浜岡原子力発電所の安全性に疑念を抱かせる重大な事実が次々に明らかになっており、さらに中部電力による地下構造の調査も未了であるばかりか、いわゆるバックチェックの審議も未了である。新指針についての検討用地震すら明確になっていない。このように、現段階において本件訴訟の争点が明確となり、その立証が尽くされ「判決に熟している」状態とはとても言えないことが明らかである。

 控訴人ら弁護団は、上記富越裁判長の発言については訴訟の争点と立証の現段階についての正確な事実認識に基づいて再考し、早期結審の方針を撤回するべきことを求める。